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株主総会で、株主の意見は何故通らないのだろうか?

2014-06-29 19:59:56 | 徒然

毎年6月の第4週は、「株主総会集中週間」になる。
以前ほどではないが、だいたい同業種企業は同じ日に株主総会を開く傾向がある様だ。
今回は、東京電力・中部電力・関西電力など、電力会社がほぼ同じ日の開催だった。

その中で特に注目を浴びたのが、関西電力の株主総会だったのではないだろうか。
理由はご存じの通り、関西電力の筆頭株主である大阪市長である橋下さんの発言だ。
ネットなどで確認すると、橋下さんの言っていることには一理ある。
2年前の株主総会で指摘したとおりのことが、現実となってしまったからだ。
現実を見れば、2年前の橋下さんの指摘は正しかった、と言うことになる。
不思議なのは、筆頭株主から指摘されたことを2年も放置していた、と言うことだ。
それだけではなく、日本の株主総会では「株主の意見は否決」ということが、総会前から決まっている。

確かに、日本の株主総会は「シャンシャン総会」が、総会として一番良いと思われている(既に過去になってしまったかも知れないが)。
総会の時間が短ければ短いほど、「良い(何を持って「良い」というのかわからないが)総会」と言われていた。
10年ほど前、海外の投資家が日本の企業の株を積極的に買い、株主総会が荒れたことがあった。
この時の海外投資家の意見というのは、「自己利益」しか考えた内容でしかなく、批判されても仕方の無いものだった。
その当時は「もの言う株主」という言葉が、流行した。

その「もの言う株主」という考えは、日本国内の株主にも影響を与えたのか?以降、積極的に意見を述べる株主が登場し始める。
これまで配当だけにしか興味の無かった株主たちが、経営に対しても興味を持ち始め積極的に発言をし始めたのだった。
この傾向は、良い傾向だと思う。
株主は、企業の経営には直接参加はできないが、株主総会という場でその考えや意見を述べる権利(と言うと大袈裟な気がするが)があるのだから。
当然、会社側もその意見に対して真摯に受け止め、意見を交わす必要があると思うのだが、会社側が考えたシナリオ通りにすすめることしか、考えの無い会社としては簡単に「否決」という方法をとってしまう。

これまでのように「シャンシャン総会」が、良い総会という考えの時代であればそれで良かったかも知れないが、今の様な社会環境の中では、シナリオ通りに進まない総会の運営能力、と言うことも経営者の能力として見られているのでは無いだろうか?
そう考えると、今回の電力各社のような「すべて否決」と言うのは、この様なニュースを聞いた生活者から観ると「柔軟性に掛け、時代感を持っていない経営者」と見られてもしかたない様な気がする。
そのコトに、気づかない経営陣というのは、やはり将来のビジョンが描けない経営者なのかも知れない。