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リーダーシップと傲慢、組織のトップはその違いを認識すべき

2015-03-16 19:37:00 | ビジネス

朝日新聞の朝刊に、なるほど!と思う記事が掲載されていた。
朝日デジタル:傲慢トップは経営リスク (デジタル版では、記事内容が一部しか読めないのが残念だ)。

記事を読むと、納得できる部分がかなりあった。
そして気になったことの一つが「リーダーシップと傲慢さ」の違いを認識していない人に、このような「傲慢トップ」に陥りやすいのではないだろうか?という点だった。

バブルが崩壊してから、日本では企業経営という部分だけではなく、政治の世界でも「リーダーシップ」ということが盛んに言われるようになった。 
「強いリーダーシップで、組織をけん引する」という言葉に象徴されるように、どこか「強いリーダーシップ」が取れる人材こそ、バブル崩壊後の閉塞感漂う社会を打開できる人物である、ということが当たり前のようになってきた。
ビジネスの分野についていうなら、経営危機に陥った企業の場合、経営の立て直しを託された方は大体記者会見などで「強いリーダーシップを発揮し、社員をけん引し立て直したい」という趣旨の内容を話すことが多い。
確かに「強いリーダーシップ」を発揮する、ということは、閉塞的な状況を打破するためには、効果的だと思う。
実際、多くの企業がV字回復するきっかけとなったのは、ドラスティックな改革を推し進めることができた、経営トップが就任したというケースは数多くある。
問題なのは「強いリーダーシップ」が、いつの間にか「傲慢なトップ」になってしまうことだろう。

記事の中でも指摘をしているのだが、最初から「傲慢なトップ」などはほとんどいない。
強いてあげるなら、「ナッツリターン嬢」くらいだろう。
その視点で考えるなら、「世襲が続くと三代目で潰れる」というのは、あながち間違ってはいないのかもしれない。
ただ多くの場合、トップの座に長い間いることで、いつの間にか「傲慢なトップ」に成り下がってしまうのだ。
それは、組織を作っていく過程でもその要素がある。
よく言われる「イエスマンの側近たち」の存在だ。
「傲慢なトップ」にとって、「自分の意見に反論しない側近たち」は、使いやすい。
それは言い換えれば、自分の意思通りに動く人材が側にいることで、現実が見えなくなってしまうことにつながる。
この「現実が見えない」ことが、経営を傾かせる要因になることは、改めて説明するまでもないだろう。
自分の意に反する人材というのは、「反対勢力」ではなく、偏った振り子の動きを元に戻す役割なのだ。
それは企業経営だけではなく、政治の世界でも同じだろう。
実際、記事の中では「傲慢なトップ」の一人として、ヒットラーを挙げている。

社会に閉塞感が漂うと、「強いリーダーシップ」を求める声が大きくなる。
しかし「強いリーダーシップ」が、「傲慢なトップ」になる要素を含んでいる、ということも理解する必要があるだろう。
企業であれば「倒産(あるいは「解散」)」によって、社会から消えてしまう。
それが政治であれば・・・いろいろなことを考えさせられる記事であった。