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遠距離看護

2015-03-23 21:38:39 | 老親介護

このお彼岸、実家へ帰省していた。
例年は、母の墓参りが2月にあるためお彼岸には帰省することはしないのだが、今回は父が心筋梗塞で入院をしたため、母の墓参りはキャンセル。
その代りの墓参りと退院後の父の様子見のために、帰省してきた。

父が心筋梗塞で緊急入院することになった時にも感じたことなのだが、高齢者家族を遠距離で看護するということは、それなりの準備と覚悟が必要だということだ。
経済的な面も大きいのだが、その地域の医療体制とサポートネットワークを作っておく、ということが重要だと感じている。

父の場合、以前から「かかりつけ医」を持っていたために、急性期病院(=高度な治療を中心に行う病院)に入院直後から、「かかりつけ医」に父が入院をし、どのような治療が行われたのか?退院後の対応などについての情報を共有するために、書類などを持参し、何度か説明に行った。
その結果、急性期病院である入院先の担当主治医から、相当詳しい内容の治療に関する書類を「かかりつけ医」に渡すことができた。
ここまでが、退院までに家族として行ったことで、退院後父に対して薬などの処方や簡単な検査を含めた診察については「かかりつけ医」が行っている。
父としては、気心の知れた「かかりつけ医」に見てもらう、ということが一番の安心材料となっているようで、入院時にはなかなか言えなかった体調の不安や生活指導などについても、積極的に質問ができているようだった。

そして何より、遠距離看護をしなくてはならない私が心強く感じたことは、「ご近所ネットワーク」だった。
田舎ということもあり、ご近所づきあいが都市部に比べて濃い。
プライバシーということを都市部では盛んに言われるが、その「プライバシー」という点でも、意外に踏み込むようなご近所づきあいではないようなのだ。
これはおそらく、ご近所そのものが同世代が多いということにも関係しているのかもしれない。 
「お茶飲み友達」はたくさんいて、互いに行き来をしあったり昔ながらの「おかずのやり取り」などはあるものの、夕方になれば「それじゃぁ、元気でまた明日」と、帰って行かれる。
話にしても、自分たちの若いころの話や町内会の話で、いわゆる噂話のようなものはない。
もしかしたら、これが「年寄の付き合い」というものかもしれない、と思えるほど「付き合いの距離感」が程よいことに驚く部分がある。

この「ご近所ネットワーク」と「かかりつけ医と急性期病院」というサポートが機能していることで、独居老人である父も父らしさを維持しながら生活ができている、という確認ができただけでも良かったと思っている。
しかし、父のようなケースは全国的にはどうなのだろう?
大学病院や大きな総合病院に行きたがる方は多い。
しかし、今の医療制度では大学病院や大きな総合病院は「急性期病院」として位置づけされ、基本的な治療が終われば退院を勧められる。
以前のように「体力が回復してから」などと、悠長なことは言ってはいられない。
その後の受け皿となるような病院を、日頃から持つことが重要なのだが、そのような情報は少なく「回復期療養難民」のような患者さんが少なくないのではないだろうか?
それが遠距離看護であれば、なおのこと対応が難しい。
我が家の場合は、偶然にもそのような体制がスムーズに作ることができた。
それはもしかしたら、地方だったからできたことかもしれない。

介護世代(=親の介護をする世代)にとって、親のこと以上に今の医療情報を知る必要がある、と感じたお彼岸帰省だった。