日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

視点を変えると、方向性も違って見える

2015-03-10 20:35:43 | マーケティング

毎朝寝ぼけ眼で、FMの番組を聞いている。
その中で、「あぐりずむ」という番組がある。
2月までは、全農が提供していた番組だったのだが、3月からはスポンサーが変わった。
こんなところにも、農協改革の影響なのか?と、思いながら聞いているのだが、番組そのものに大きな変化があったわけではなく、全国各地の農家(農業法人を含む)の生の声を生活者に届ける、という趣旨は変わってはいない。

今日取り上げていたテーマは、「農業女子プロジェクト」
このプロジェクトそのものは、農林水産省の後押しで作られたプロジェクトのようなのだが、これまでの「官制プロジェクト」よりも、参加者の自由度が高いように感じる。
何よりも、女性が農業を目指す(?)と随分視点が違うものだな~と、感じることも多い。

今日放送された女性農家さんは、同じ志を持つ(というと、大げさだが)農業女子さんたちが集まり、異業種である「モンベル」と一緒に、イベントを開催している、というグループの話だった。
ご存じの方も多いと思うのだが、「モンベル」とい企業はアウトドア用品の中でも登山などのウェアや道具を企画・販売している企業だ。
それだけではなく、山登りやトレッキングを趣味としている社員が多く、社員自らが山登りやトレッキングツアーを企画し、集客をする、というユニークな一面を持っている。
従業員と顧客の距離がとても近く、共感性の高い企業と言われている。

そんな「モンベル」と農業女子が一緒になってイベントをする、というのは、異業種コラボといっても異色な印象を与える。
しかし、農業女子側の話を聞くと、納得できる部分があったのだ。
それは「農業の視点を変える」ということだ。
「農業=農作物を作る」という視点ではなく、「農作物を通じて、人の健康に携わる」と考えていたのが、今日取り上げられていた農業女子のグループだったのだ。
確かに「人の健康に携わる」という視点になると、「モンベル」のようなアウトドア企業であっても「健康」という共通のキーワードで結びついてくる。
「モンベル」自身も、「アウトドア用品の販売・企画、ツアーの企画・販売」を通して、「健康増進を促す」という視点を持てば、農業女子グループとコラボレーションをすることは、不自然ではない。
むしろ「美味しい野菜や果物を持って、山登りやトレッキング、アウトドアを楽しめば、より健康的になりますよ」と、言うことができる。

過去にも、様々な企業や団体が異業種コラボをしてきたが、話題になるもののなかなか定着することはなかった。
むしろ「異業種コラボ」を一つの話題作りや低迷する事業の起爆剤的な感覚で、行ってきた感がある。
だからこそ、今回のような互いにこれまでと違う視点を持ちながら、共通のキーワードを探し、生活者に提供する、ということは、新たなビジネスチャンスを互いに創る機会になるはずだ。
その為に必要なことは、「自分たちの事業の目的は?」という、根本の視点を変えることだ、ということを教えてくれていると思う。