日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ポップオーバーとヨークシャープディング・・・ネーミングの大切さ

2015-06-08 18:32:44 | マーケティング

昨年流行した商品の中に、「ハワイアンパンケーキ」があった。
今年マクドナルドでも、キャンペーンメニューに取り入れた、大流行のスィーツメニューだった。
そのパンケーキに代わる注目スィーツが「ポップオーバー」という、シュークリームのシュー皮のようなパンだ。

実はこの「ポップオーバー」の画像を見たとき、「どこかで見たことがあるな~~」と思いながら、思い出せずにいた。
どこで見たのかは、よく覚えている。会社員時代、当時勤務していた会社のオーブンレンジの新商品向けに、目新しいメニューということで、紹介されたパンに似ていたのだ。今から20数年前のことだ。
一応試作品として、食べたのだが・・・何とも味もそっけもなく「日本人に受け入れられる提案メニューとしては、厳しいのでは?」という女性社員の声で、このメニューは外されたのだった。
とても気になり、モヤモヤしていたのだがやっと思い出したのが「ヨークシャープディング」だった。
ウィキペディア:ヨークシャープディング

この時企画としては、「ヨークシャープディング」だけを紹介・提案するのではなく、メインは「ローストビーフ」。イギリスではローストビーフのグレービーソースを付けて食べる、というのが一般的な食べ方。何より「ヨークシャープディング」の焼き上がりの形が均一ではなく、一見するとどれもが失敗作のように見えたのも、紹介するメニューとして厳しいのでは?という理由だった。

今にしてみれば、時代が早すぎたのか?という気がしないわけでもないのだが、やはりもう少し視点を変えてみてもよかったのかもしれない、という部分もある。
まして今ブームになりつつある「ポップオーバー」を見ていると、「ヨークシャープディング」ではなく「ポップオーバー」であれば、若い女性やお子様向け簡単メニューとして提案ができたかもしれない、という残念な気がしてくる。

そう考えると、ネーミングというのは大切だと感じる。
「ヨークシャープディング」と言っても、どんな食べ物か想像がつかない。
「プディング」というのだから、お菓子のプリンのようなもの?と思って、現物を見るとお菓子のプリンとは似ても似つかないパンのような・・・シュークリームの皮のようなもの。
味そのものも、ヨークシャープディングは砂糖などを入れないため甘味などもなく、どう食べたらよいのかわからない。
それに対して「ポップオーバー」という、ネーミングになると弾むようなリズム感がある。現物を見るとそのネーミングとおりフワフワと膨らんで、軽そうな感じがする。こちらは砂糖を加えてあるため、そのままで食べてもおいしい。もちろん、フルーツやはちみつ、クリームなどを加えれば、もっとおいしい。

もし20数年前、「ローストビーフサンドイッチ」のような提案ができていれば・・・と、ポップオーバーのブームを見ると、残念な気持ちと反省の思いがある。