日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

アップルの定額音楽配信は、音楽業界そのものを変えるかもしれない

2015-06-11 15:54:48 | Weblog

先日、アップルが「月額の定額音楽配信サービスを開始する」と、発表をした。
日経などでは、音楽業界が大荒れになるのでは?と報道をしている。
日経:大荒れ、定額音楽配信、アップル迎え撃つ国内勢

音楽のネット配信が始まってから、あまり音楽そのものに接する機会がなく「アップルが、そんなサービスを開始するんだ・・・」程度の認識しかなかった。
ところが、よくよく話を聞くと、もしかしたら音楽業界そのものを、変えるようなことになるかもしれないという気がしてきた。

既に音楽を聴くスタイルは、Podの登場によって随分変わってしまった。
それはレコードからCDという形態だけではなく、生活者の音楽視聴スタイルそのものを変えてしまった、と言ってもよいと思う。
かつてソニーが「ウォークマン」を発売したとき以上の、暮らしの中の音楽視聴の大転換だったといっても過言ではないと思う。
それが今では、スマートフォンにダウンロードした音楽を聴きながら、スマートフォンでラインをするのが、当たり前になっているのでは?
「ウォークマン」の登場で、「いつでも・どこでも音楽自由に聴ける」にはなったが、「聴くため」には、レコード等からカセットテープなどに音源を落とし、そのカセットテープを持ち歩く必要があった。
今では、ネットからスマートフォンなどにダウンロードをすることで、音源を持ち歩く必要がなくなった。

それがこれからは「クラウド」上で管理をし、好きな時にアクセスをする、ということになる。
それだけなら、ダウンロードがクラウドに代わっただけのように思えるのだが、アップルの考えは音楽を提供する側にも大きな変化を与えようとしているようなのだ。
それは、かつてのような「音楽レーベル」に所属しなくても、音楽を配信することができる、という点だ。
youtubeに積極的に投稿する「Youtuber」の、音楽版のようなミュージシャンが登場するかもしれないのだ。

今は「メジャーVSインディーズ」というような、音楽業界の構図?がある。
メジャーデビューすることができれば、その認知度は一気に上がり楽曲がヒットする可能性が出てくる。
インディーズはあくまでもメジャーになるための、ステップに過ぎない。
それがミュージシャン側が自由に音楽配信ができるようになれば、メジャーではないがコアなファンを持つミュージシャンが生まれる可能性がある。
先日「総選挙」が行われた、AKBとその姉妹グループによる「人気投票」のようなイベントで、話題をつくり人気を作り出すのではなく、一般メディアでは取り上げない、ネット上だけのメジャーミュージシャンが生まれる可能性もある。
ストリートミュージシャンは、街頭で歌を歌いメジャーデビューを目指したが、これからはネット上で音楽を配信し、自分の感性と共感できるファンだけを相手にするようになるかもしれない。

そうなると、いわゆる「音楽レーベル」とか「著作権管理会社」は、ネット上のメジャーミュージシャンをどのようにあつかうのか?という問題が出てくるような気がする。
プロなのかアマチュアなのか?という線引きが、ボーダーレスになっていくことも考えられる。

アップルの仕掛ける「定額音楽配信サービス」は、そんな音楽界のイノベーション(または破壊か?)になるかもしれない。