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英国大使館の意外な広報活動

2015-06-09 20:29:30 | アラカルト

昨日、イギリスの伝統的料理「ヨークシャープディング」のエントリをした。
その時「ヨークシャープディング」の画像を探して、ネットで検索をしていた時、意外なところで英国大使館の名前を見つけた。
見つけたサイトは「クックパッド」。
おそらく日本最大のネットレシピサイトだと思われる「クックパッド」に、レシピ提供者として英国大使館の名前があったのだ。

クックパッド:ローストビーフ&ヨークシャープディング

レシピ提供者は、英国大使館総料理長となっている。
他にも伝統的な英国料理のレシピが紹介されている。
英国大使館の公式キッチン
クックパッドと共同で英国大使館が、英国料理を紹介するキャンペーンを展開し、その時のレシピの一つとして、ローストビーフ&ヨークシャープディングが紹介されていたようだ。
レシピが投稿された年月日を見ると、2013年の12月からスタートし、その後も継続的にキャンペーンを展開しているようだ。

昔から「英国料理は、おいしくない」といわれ、時には「英国料理で一番有名なのはフィッシュ&チップス」とさえ言われてきた。フィッシュ&チップスがまずいわけではないのだが、フランス料理のような「その国の料理(全般)がおいしい」という印象は、残念ながらなかったといえる。
だからこそ?本格的な英国伝統料理を紹介し、英国そのものを知ってもらおう!という気持ちが、このようなキャンペーンとなっているのだろう。

そう考えると、この英国大使館とクックパッド共同のキャンペーンは、なかなか面白いと思う。
というのは、「食べることが嫌いな人」というのは、余りいないと思う。
毎日家で料理を作る人にとって、クックパッドはメニューを考えるうえで強い味方だ。
働く女性(男性もかもしれない)が、お昼休みに冷蔵庫の中にある食材を思い浮かべながら、夕飯のメニューを考えるとき、クックパッドでチェックをし、仕事帰りに足りない食材を買い足し、夕飯を作るということは普通のことだからだ。

もしクックパッド(でなくても「レシピブログ」でも構わないが)などに、地方の伝統料理の紹介がされていたら、どうだろう?特に、その地域でしか採れない「伝統野菜」などのレシピを紹介しながら、その地域を知ってもらう、という発想だ。
「伝統野菜」は手に入らなくても、代用品となる食材を表示することで、レシピそのものは十分活用でき、伝統野菜や調味料などを紹介することで、「お取り寄せ」の動機づけとなるだろうし、それが「その土地に出かけてみたい」という気持ちを起こさせるかもしれないからだ。

おそらく英国大使館がクックパッドと共同でキャンペーンを展開した理由の一つが、まさに観光誘致だったのでは?
英国の食文化を知ってもらいながら、いつか英国に観光で出かけたい・・・という、気持ちを生活者にさせる、という狙いもあったのでは?と、考えるのだ。

昨年「日本食」がユネスコの文化遺産に登録された。
おそらく海外では「日本食は外で食べるもの(=日本食レストランで食べるもの)」という認識のほうが強いと思う。
しかし、この英国大使館のように「料理を作ってもらいながら、文化を知ってもらう」という、発想になればこれまでとは違う「クールジャパン」の提案になるだろうし、それは上述した通り地方であっても同じだと思う。