日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

文化の違いを感じた、トヨタの対応

2015-06-20 20:30:24 | 徒然

昨日、トヨタ自動車の豊田社長が、一昨日逮捕された女性役員についての緊急記者会見をした。
新聞だけではなく、テレビなどのメディアでも取り上げられた内容については、改めて書く必要はないと思う。
ただ、記者会見の様子をネットで見ながら感じたことは、「いかにも日本的」ということだった。

豊田社長は「社員は、家族である」ということを、記者会見で話されていた。
(かつての)日本企業の多くは「従業員は家族と同じ」という、考え方があった。
だからこそ「親睦」目的の、旅行や運動会などが会社の福利厚生の一環として、行われていたのだ。
それが崩れたのが、バブル経済の崩壊後だと思う。
企業そのものが、そのような福利厚生費に回す余裕がなくなり、積極的なリストラによって何とか利益を出すようになってきてからだ。

日本には、もともとそのような素地があったことを考えれば、豊田社長の話は何となくわかるような気がする。
これがもし彼女が以前勤めていたゼネラルモーターのような、米国企業だったら対応は違っていたのでは?という気がしたのだ。
まず社長が記者会見を行っただろうか?行ったとしても、その内容は「彼女は、私たちの信頼を裏切った」という内容だったのではないだろうか?当然そのあとに続く言葉は、「辞めさせる(もしくは、退職勧告)」のような気がするのだ。
それだけ米国では、企業のイメージを優先させるだろうし、「企業の新しい顔」として迎え入れたはずの役員が警察沙汰になる、というのは問題だからだ。企業イメージを悪くさせないためにも、早い段階でそのような手続きをするのでは?

そのような文化の違いが果たして、トヨタにとってプラスになるのか?というのは疑問だ。
ただ、今日の夕方の新聞各社のWEBサイトを見てみると、この事件に関して触れている新聞社はない。
少なくとも全国紙と地元紙では、朝刊記事としてはあるものの、その後の続報となるものはない。
そして、この事件が報道されるようになってから、Yahooなどのトップに表示されていたトヨタの広告が、すっかり姿を消した、ということだ。
たまたま偶然なのかもしれないが、前日まで「LEXUS」やキムタクが登場する「祝!カローラ販売台数1000万台(だったと思う)」など、見飽きるほどヘビーローテーション(というべきか?)で表示されていた広告が、ピタッと無くなってしまった。
我が家にはテレビがないので、テレビCMの状況がわからないのだが、トヨタの迅速な対応というものを感じてもいる。

今、日本の企業は外国人役員を招へいすることに積極的だ。
背景には「今後のグローバル化とダイバーシティー」に対応するためだと思うのだが、女性役員の登用ということであれば、何も何億円というお金をかけずとも、自社で一生懸命仕事をしてきた女性社員をまず登用すべきだったのでは?「そのような人材が社内にいなかった」とすれば、それはトヨタ自身が「女性社員を育ててきていなかった」ということを社内外に示した、ということだと思う。
それもまた、日本との文化の違いのような気がする。