日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

本当にバターは不足しているのだろうか?

2015-06-03 21:58:41 | アラカルト

先日「今年もバターが不足すると思われるので、緊急輸入をする」という政府側から話が、ニュースとして伝えられた。
朝日新聞:バター、7千トンの不足見込み 農水省は緊急輸入の方針

ここ2,3年スーパーの乳製品売り場に行くと、「バターの入荷量が少ないため、お客様にはご迷惑をおかけいたしております」というお詫びの文とともに、「おひとり様1回のご購入は1個に限らせていただきます」と、書いてある。
実際、バターが毎日店頭に並んでいる、という感じではない。
バターがなくても、マーガリンで代用といっても、昨今の「健康意識の高まり」で、マーガリンに含まれる「トランス脂肪酸」を極力排除するために、マーガリンの購入をためらう方も増えているようだ。

これまで、「バター不足=牛乳の消費量の減少」ということが言われてきた。
もう一つは、酪農を辞める酪農家が増えている、という点だった。
酪農家が酪農を辞めるということは、酪農業そのものの衰退ということだけではなく、再度酪農業を始めようとしても初期投資がかかりすぎるために、一度辞めると再び事業を始めることができず、減少するのみとなってしまう、ということだった。酪農を辞めないにしても事業規模を縮小する酪農家さんも少なくない、という話を以前聞いたことがある。

そのような酪農家の減少によるバター不足という原因はわかるのだが、最近「本当に、バターって不足しているのだろうか?」と、疑問に感じるようになってきた。
というのも、牛乳から作られるヨーグルトなどが、随分値下がりしているのだ。
商品の過剰というよりも、スーパーなどでの「目玉商品」として、ヨーグルトが使われるようになり、そのためヨーグルトそのものの販売量が増えているのでは?という気がしているのだ。
そして「ヨーグルトの目玉商品化」というのは、今年に入ってからは恒常的になりつつあるように感じている。
それだけではなく、昨今の「健康志向」で「牛乳は飲まなくても(あるいは「飲めなくても」)、ヨーグルトは食べる」という方は案外多い。
そのような生活者の志向の変化と、価格が連動するかのような値下がり感があるのだ。
乳製品のメーカー側としても、牛乳にこだわるよりも牛乳の加工食品であるヨーグルトの販売で牛乳の売り上げ減少分をカバーできれば、問題はないのでは?

そんなことを思っていたところに、ライブドアニュースに気になる記事があった。
livedoorNews:バターの輸入は政府しかできない・・・バター不足の一因になった側面も
この記事を読むと、バター不足は「官制不足」なのでは?という気がしてくる。
政府側(というより、お役人の)都合で、酪農家さんたちを廃業や事業規模縮小に追いやり、生活者には「バター不足」という不安や危機感を持たせ、洋菓子店などには「値が上がっても、仕方ない」と思わせているのでは?といううがった見方をしてしまうのだ。

学校給食の「米食化」により、学校での牛乳消費量の減少が酪農家に多大な影響を与えている、というのであれば、牛乳の加工食品である「ヨーグルト」や「チーズ」にすることで、消費の維持を考えることも重要だと思うし、そのような提案をなぜ、政府側(農水省)はしないのだろう?