日々是マーケティング

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「需要」とは、何か?

2016-01-18 10:57:29 | マーケティング

毎日新聞のWEBサイトを見ていたら、「パキスタン★12歳まで飲まれる粉ミルク 明治」という、記事があった。
毎日新聞:パキスタン★12歳まで飲まれる粉ミルク 明治

記事を読むと、なぜ12歳まで粉ミルクなのか?という、理由がわかり「そのような需要があるのか!」と、納得した次第だった。

日本では、粉ミルクそのものを利用するのはある一定年齢まで、と決めてしまいがちだが、「粉」という状態であるコトを考えれば、年齢に合わせた栄養素を加えることはしやすいかもしれない。
何より「保存性」という点は、飲料水よりもはるかに勝る。
パキスタンという、衛生環境が日本と比べあまり良くない国であれば、この「保存性」が大きな需要となるのだろう。

マーケティングにとって、「需要を知る」ということはとても重要なことだ。
そのためには、この記事の明治のようにその地域に根差し、評価を受け続けること(明治製品で大きくなった子供は「メイジ・ベビー」と呼ばれるという記事内容は、その一例だろう)で、ブランドという社会的信頼を得ることができる。
これらがそろうことで、おそらく明治は「12歳まで飲める粉ミルク」という、日本では考えられない商品をつくり出すコトができたのだと思う。

その「需要」という視点でこの商品を見てみると、パキスタンよりも衛生環境が過酷な国や地域が世界中には、たくさんあるコトに気づく。
今現在国連のWFP(国連世界食糧計画)が中心になって、食糧支援をしているような地域だ。
このような地域は、主に子供たちへの栄養支援を目的としているが、もっと視点を変えると「高齢者」という需要も考えられる。

「飽食の時代」と言われて久しい日本だが、一部高齢者の中には「栄養失調」の傾向がみられると、言われている。
昨年、父が心筋梗塞で倒れ、入院をしていた時も担当主治医が心配したことは「高齢者の栄養失調」だった。
「高齢者の栄養失調」というのは、食べるものがない栄養失調ではなく、食べられる量が少なくなる栄養失調という点で、おそらく高齢者社会になりつつある先進諸国で起こりつつある問題という気がしている。
事実明治は、高齢者向けの栄養飲料「メイバランス」という商品を出している。

一つの商品の需要から、様々な社会的問題を解決するために「需要」を見つける、ということもまた企業にとっては、とても大切なことだ。
そのような「需要を見つける視点(=社会的問題の解決を見つける)」を、持ち続けることが大切なのだということを、この記事は教えてくれている。