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CMに見る、マツダの快進撃

2016-01-26 20:16:10 | ビジネス

自動車メーカーの中で、快進撃を続けているといえば、おそらくマツダだろう。
その快進撃さを良く表しているのが、テレビCMのような気がする。
とにかく「運転するコトが楽しい」というCMは、見ているこちらも楽しくなるような作りになっている。

その新作CMを見ていると、「クルマを楽しむのは、大人だけではない」と、言っているようだ。
マツダCM:MAZDA TVCM「Be a driver .2015 ATENZA」

男の子が(自分の)チャイルドシートを持ち出し、お父さんに内緒で運転席へ据え付け、アテンザのハンドルを嬉しそうに握る。
その姿を窓際で新聞を読んでいたお父さんは、しっかり見ている。
そして、家族でドライブに出かけるとき、子供のおもちゃの車のハンドルを用意し、チャイルドシートに座る子供に握らせる。
その時の子供の顔が、なんとも嬉しそう。
その嬉しそうな顔を見ている、お父さんも嬉しそうにほほ笑む。
というストーリーのCMなのだが、運転をする楽しさはドライバーだけのものではありませんよ。
ハンドルを握り楽しそうに運転をする姿を見ているお子さんにとっても、ドライブは楽しいことなのですよ。と訴えている内容だ。

これまで、家族が登場するクルマのテレビCMは、たくさんあった。
その多くは、「家族でドライブ」という提案はされていたが、ドライブする家族、特に子供からの視点を描いたCMというものは、あまり記憶がない。
随分前、トヨタが「ファミリーカーのトヨタと呼んでください」といった「パプリカ」のポスターには、子供が運転席でハンドルを握っている、というポスターが使われたと記憶しているのだが、「車を運転する楽しみ」は、運転免許を持っている大人の楽しみという、表現が多かったような気がする。

しかし、若い世代でのクルマ離れが進んでいることを考えると、今回のマツダ「アテンザ」のようなCMが登場してもおかしくはない。
なぜなら、「子供の頃、家族で出かけたドライブは楽しかったでしょ。その時、自分も大人になったら運転をしてみたい、と思ったのではありませんか?」というメッセージを含んでいるのでは?と、感じるからだ。
もちろん、今の家族に向けてのメッセージも含まれてはいると思うのだが、「運転をする楽しさ」は、大人だけのものではない、という点がこのCMのポイントなのではないだろうか。

このようなやや焦点を外したCMを出すことができる、ということが今のマツダの強さなのだと思う。
対照的だったのは、長い間マツダと提携関係にあり株式を保有していたフォードが、日本市場からの撤退を決めたというニュースがあったコトだ。
読売新聞:米フォード、日本事業から年内撤退の方針