日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

COCOイチの廃棄カツ流用を考える

2016-01-20 11:20:48 | アラカルト

カレーの「COCO壱番」で使用予定であったが、異物が混入していたため廃棄予定であった冷凍ビーフカツなどが、横流しされていた事件。
「COCO壱番」のカツ類だけではなく、様々な飲食店で使用され廃棄予定であった冷凍食品が、横流しされていたようだ。

廃棄予定の冷凍食品を横流しするというのは、「廃棄処分」を依頼した企業から処分費用を取り、横流しをした企業に販売をしているということになる。一つの商品に対して利益の二重取りをしていることになる。
この点を指摘している記事を見かけないのは、一番の問題点が「異物混入のために廃棄処分対象」となった、食品を横流ししていたという点だと思うのだが、一部報道では、一度解凍された物が、再冷凍されていた物もあったようだ。
横流しされた商品だと知らずに仕入れた業者側も、いくら安くても商品としての価値はないし、そのような商品を扱うこと自体問題だろう。

ニュースなどでは、このような点ばかりに注目されてしまっているようだが、廃棄される食品の量の多さにも、注目する必要があるのではないだろうか?
確かに、全国チェーン展開をしている「COCO壱番」にとって、廃棄処分予定であったカツ類の数量は販売数量からすると、決して多い数字ではないかもしれない。
他の横流しされた冷凍食品についても、同じことが言えるのかもしれない。
だが、これらの加工された食品は、「食べられるために加工された物」ということを考えると、どこか空しいというかかわいそうな気がするのだ。
加工された牛や豚、鶏だって、廃棄処分されるために、と畜されたわけではない。
その加工に携わった人たちも、「食べてもらうコト」を前提に仕事をしていたと思う。
それだけの労力を考えると、「廃棄処分」以外の利用を考える必要があるのでは?という、気がするのだ。
もちろん、事件の発端となった「COCO壱番」の「異物混入ビーフカツ」は別だ。

例えば、最近問題になっている「子供の貧困」。
貧困家庭の子供たちの多くは、夕食などをきちんと食べることができないケースが多い、と言われている。
そのため全国各地に、「こども食堂」を運営するNPOができてきている。
毎日ではないが、月数回このような「こども食堂」で同じような境遇の子供たちと、スタッフの大人が一緒に食事をすることで、子供たちを守ろうという動きだ。
このような活動をするNPOの問題は、その活動費や食品を集めることだ。
それをサポートする「フードバンク」などもできてきているようだが、なかなか上手くいっていないという話を聞く。

であれば、冷凍食品の廃棄を出す飲食店や小売などが、フードバンクに登録をし、定期的に廃棄前の食品を提供する、という方法は考えられないだろうか?
今や食品にかかわる問題は、「食の安全・安心」だけではなく、「食品廃棄」もクローズアップされてきている。
先日も、大阪の学校給食の廃棄にかかる費用が5億円分であった、という報道があった。
読売新聞:「冷たい」・・・大阪市の給食食べ残し、年間5億円
食べ残しの理由は、いろいろあるとは思うのだが、それにしても大きな額だ。

「食品廃棄」の問題は、「貧困」だけではなく「経済の問題」でもあると思う。