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E-テレ・・・何気なく時代を先取り

2016-01-28 20:13:00 | トレンド

最近「テレビ番組が面白くない」と、盛んに言われている。
確かに新聞のテレビ欄を見ても、いわゆる「ゴールデンタイム」と呼ばれる時間帯のテレビ番組の多くは、似たり寄ったり、という印象を受ける時がある。
そんな中、やや「異質感」があるのが、NHKのE-テレだ。

「ゴールデンタイム」に、「ハートネットTV」など社会的ハンディのある人達や社会問題を、掘り下げるような番組があったり、夜の10時台になると「100分de名著」とか「うわさの保護者会」といった、おそらく民放では企画できないような番組がある。そのほかにも「亀田音楽専門学校」のような、一風変わった番組もある。
番組と番組の間にある「まる得マガジン」のような、知っておくと便利な番組もある。

おそらく番組制作としては、あまり費用が掛かっていないのでは?という気がするのだが、番組の内容そのものはとても充実している。
E-テレの番組そのものは、テキストを併用しながら番組を進めていくので、テキスト販売による利益が番組制作に反映できるのかもしれない。
地味ながら、充実した番組が多いのがE-テレの特徴かもしれない。

そのE-テレの番組の中でも「長寿番組」の一つが、「おかあさんといっしょ」なのではないだろうか?
1960年から番組がスタートしているのだから、半世紀以上続く番組であり「幼児教育番組」のはしりとなった番組でもある。
その「おかあさんといっしょ」だが、「幼児教育番組」だと侮ってはいけない。
「小学校での英語教育がスタートする」ということが話題になると、番組内で「えいごとあそぼう」というプログラムが登場したり、その時代の流れをキャッチし続けることで「長寿番組」と、なっているのだ。

その「おかあさんといっしょ」に、この春からロボットが登場するという。
朝日新聞: 「おかあさんといっしょ」にロボット登場へ 新人形劇

昨年秋ごろから、盛んに「人工知能」の話題が新聞などをにぎわすようになってきた。
今年のトレンドワードとして「ファナテック(=ファイナンスとテクノロジーを合わせた造語)」という言葉も、効かれるようになってきた。
そのような時代の変化に合わせ、幼児教育番組である「おかあさんといっしょ」にも、ロボットが登場するようになるということのようだ。

それで思い出したのだが、米国の幼児教育番組「セサミストリート」も、時代の変化とともに内容も変わってきている。
番組開始直後は、貧困家庭の子どもたち(多くは黒人家庭の子供たち)のための教育番組だったが、20年ほど前からは「非英語圏の子どもたち」への教育という内容が加わってきた。
と同時に、マイノリティーの子どもたちが登場し、ヒスパニックなどの言語が加わってきている。

「子供向け番組」程、時代の移り変わりを敏感にキャッチし、番組に反映させることが重要なのかもしれない。
だからこそ、E-テレは地味ながらもユニークで、視聴率を気にせずに時代を映す番組が作れるのかもしれない。