日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

デザインにもロングセラーがある

2017-10-06 20:08:30 | アラカルト

Huffpostを見ていたら、懐かしいデザインを見つけた。
毎年「グッドデザイン賞」を発表している経産省が、新たに設けた「ロングライフデザイン賞」についての記事だった。
グッドデザイン賞:ロングライフデザイン賞

受賞デザインを見ると、懐かしいものや、今でもお世話になっている文房具がある。
おそらく多くのご家庭の冷蔵庫には、おなじみのパッケージと共に、ストックされているのではないだろうか?
中には、一時生産中止となって「レンズ付きフイルム 写ルンです」も、受賞をしている。
最近、若い人たちを中心に人気復活をしてきた、と今年話題にもなった。
受賞した「長靴」を見ると、今でもオシャレな印象を受けるだけではなく、受賞をした企業だけではなく多くの企業が同じようなデザインの長靴を出しているような気がしている。
「意匠デザイン」という考えが無いまま、今に至ってしまったのかもしれない。

この中で一番目を引くのは、黄色い帽子だと思う。
幼稚園~小学校低学年の頃、この帽子を被っていたように思う。
懐かしいだけではなく、今でも毎年新入学・新入園の頃になると、この帽子を被った子供たちの姿を見る。
懐かしいだけではなく、なんとなくこの帽子をあぶった子供たちに、エールを送りたくなるような気分になるのは、私だけではないと思う。

この帽子に「デザイン」といわれたときには「え!デザインですか?」という、気がしたのだった。
メトロ型と呼ばれる帽子の基本型過ぎて、デザインであるということを忘れていたからだ。
そしてこの帽子に「学堂交通安全帽子」という名前があるということも、知らなかった。
それだけ、自分の生活に密着していたものだった、というだけではなく多くの人たちが「当たり前のように受け入れてきたデザイン」であった、ということなのだと思う。

ただ本当に、何もしないで長い間生活者に使われてきた、というだけなのか?というと、違うのではないだろうか?
マヨネーズのパッケージデザインにしても、のど飴にしても、時代の変化と共に私たちには気づかないような、デザイン変更はしてきているのではないだろうか?
それは、時代の空気感(決して「忖度」ではない)などを敏感にキャッチして、「より使いやすい」とか「より分かり易い」といった、生活者の気持ちや生活者への思いを時代と共に、変化させてきているのではないだろうか?
だからこそ、いつの時でも以前と同じような感覚で、使うことができるのでは?と、思っている。
それは、「ロングセラー商品」と全く同じ考えだからだ。

この「ロングライフ賞」の趣旨として、

機能的に必要十分なだけではなく、
人々にとってなくてはならないものとして受け入れられ、
長い時間をかけ私たちの暮らしに定着してきたもの。
これから先も大きく変わることのない普遍性を持ったもの。

この賞が大事にしているのは、「デザインは私たちの暮らしを豊かに支え、
日常の風景の一端を形づくる」という考え方です。
だからこそ、スタンダードとして私たちの想いに長く寄り添ってくれる、
美しいものであってほしいと考えています。

という文がある。
この文を読んで、日本の「民芸運動」の中心となった柳宗悦を思い出した。
私たちの日常生活は、このような「暮らしを豊かにしたい」という思いが、ロングセラー、ロングライフデザインを生み出すのだろう。