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「保育園落ちた」のリアル

2017-10-30 16:40:43 | 徒然

昨年話題になった言葉の一つに「保育園落ちた 日本死ね」があった。
元々は、働きたいお母さんの匿名ブログのエントリのタイトルだった。
はてな匿名ダイアリー:保育園落ちた日本死ね
確かに、過激な言葉が並んではいるが、今の働きたい(働く)お母さんの本音なのだろう。
このブログを切っ掛けに、「私も同じだ!」と声をあげた女性も多く、「待機ゼロ」を目標に掲げる自治体も現れるようになったのは、ご存じの通りだ。

何故、今更このテーマを取り上げるのか?というと、ネットの一部でテレビドラマ「コウノドリ」で扱った「産後うつ」に、話題が集まっているからだ。
実際Tverで見てみたのだが、働くお母さん(だけではなく、働く女性全般)に関わる問題として、とらえる必要があるのでは?と、感じたからだ。

「産後うつ」を発症するお母さんの数は、おそらく日本は他の国々と比べても多いのでは?と、感じている。
それだけ、日本の働くお母さんにとって「妊娠・出産・育児」の環境は、過酷な状況なのだと思う。
確かにメディアに取り上げられる「キラキラと輝く働くお母さん(「ワーママ」と呼ぶらしい)」の姿は、とても素敵だ。
「子育ても、仕事も自分らしく楽しく」といった、コピーが付いて紹介されることが、多々ある。
そして、そのような働くお母さんにならねば!と、思い込んでしまう女性もまた、多いのだと思う。
現実には、ドラマで取り上げられたような「赤ちゃんの泣く声」に「泣きたいのはこっちのほう!」と、苛立ち、書き出した保育園に連絡をするたびに、受け入れられずに消込の線が引かれていき、仕事への復帰に焦るばかり・・・という、お母さんのほうが圧倒的に多いのでは?
だからこそ「保育園落ちた」のメッセージに対して、「私も同じだ!」と共感したのだと思う。

ドラマの「産後うつ」になったお母さんは、早い職場復帰に焦っていた。
早期の職場復帰を望むお母さんたちは、「自分の働く場所がなくなる」ことへの不安要因が大きい。
妊娠から出産までの時間は、半年以上ある(はずだ)。
その半年の間、働きたいお母さんになる女性と企業との間で「キャリアデザイン」の話をすることで、随分「職場復帰への不安」は解消されるはずだ。
当然、父親となる男性もまた企業側と「キャリアデザイン」の話をする必要があるのでは?

政府が「ワークライフバランス」という旗を振り、「働き方改革」を進めようとしていても、現実は程遠い。
その理由をいろいろ考え、検証する動きはあるようだが、一番の問題は「妊娠・出産・育児」が仕事をする上で、マイナスなことだと思われるようになってしまったからではないだろうか?
確かに「妊娠・出産・育児」には、予定通りはあり得ない。
それは、大きな社会問題になりつつある「介護」という視点で考えても、同じだろう。
どんな時にも、不測の事態が起こる可能性を含んでいる。
何故なら、人間だからだ。
しかし、それはマイナスなことなのだろうか?
通常の業務では得られない経験(育児だけではなく、介護も含む)は、これからの社会に必要な視点や発想の源泉になると考えれば、マイナスなことではないはずだ。

「保育園落ちた」の問題は、保育園をつくればよい、という問題だけではない。
企業側にとっても、マネージメントという視点で重要な問題でもあり、社会全体の意識を変える必要がある問題なのではないだろうか?