日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

地方には地方のマーケティング

2017-10-12 19:35:59 | ビジネス

毎朝聞くFM番組で、興味深い内容があった。
リポビタンD TRENDEYES:最も魅力的な都道府県は?

毎年、話題となる「魅力的な都道府県ランキング」。
実は、この企業が提供しているデータの一部分だったようだ。
実際には、70項目以上のデータがあり、それらを総合した「魅力的な都道府県ランキング」を発表しているのではなく、「魅力的な都道府県」という項目だという。
地域ブランド調査2017

番組内で、「地方はマーケティングをやり過ぎない」という趣旨の話をされているのだが、個人的には「マーケティングにやり過ぎ、やらなさ過ぎ」ということは無いと思っている。
何故なら、対象となる事象に対して、合わせて行うのがマーケティングだからだ。
とはいうものの、様々な市場調査の基準となるのはいわゆる都市部、特に東京だったように実感している。
そのため、大都市部以外の社会状況や社会環境に合わせたデータづくりを、躍起にしてきたのではないだろうか?
結果として、どこかチグハグで地方からすれば「それは、大都市(特に東京)の話でしょ」という、ことになっていたのではないだろうか?
それが「大都市ならね・・・(そんなことはできるけど、田舎じゃ無理)」という、諦めからスタートする「地方活性化」になっていたように思うのだ。
あるいは、戦後の「全国ミニ東京化を目指す」ことになり、それが地方を疲弊させ、衰退させることになったように考えている。

これは、実家(鳥取県米子市)に帰省する度に感じることなのだが、地方の行政の多くは「大都市部に向いている」という気がしている。
「大都市部に向いている」とは、「大都市へ商品を出す」ことで、地域の活性化を考えている、という意味だ。
大都市に商品を出すことで、商品だけではなく地方の認知度も上がり、地域が活性化するという考えだ。
だからこそ、「高速道路や空港を造り、人・モノ・カネの流れを創ろう!」ということになるのだが、この発想は、戦後の高度成長期の発想ではないだろうか?

高度成長期の頃は、朝ドラ「ひよっこ」のように、地方から大都市部、特に東京へと「人・モノ・カネ」が動き、それがある程度、地方へ循環することがあった。
地方へ循環させる為のツールとしての、高速道路や空港だったのだ。
それが半世紀近い時間を経て、地方には「人もモノもカネも動かすことができない」という状況になりつつある。
何故なら、循環していたと思っていた「人・モノ・カネ」は、大都市部の中でも最たる東京に集中するだけになってしまったからだ。

今大切なことは、番組内のインタビューにもあるように「人・カネ」を如何に、地方へ向けさせるのか?ということなのだ。
そのために必要なことは、地域にある「モノ」を活用して、大都市部から「人・カネ」を呼び寄せるしか方法はない。
そのためのマーケティングが、必要なのだ。

「モノ」を紹介するためのツールも、今は高速道路や空港を利用する必要はない。
インターネットの登場により、様々な方法で紹介することができ、集客の為の告知ができるからだ。
その為の大がかりなテレビCMは、必要が無い。
大切なことは、情報を発信し続けること。
何よりも、地域そのものの「手入れ」をすることだと感じている。
高齢者が多くなり、「手入れができない」のであれば、「手入れ」をイベント化し都市部から人を呼ぶ、という方法もある。
「棚田」のオーナー制度などは、まさにこの「手入れをするために都市部から人を呼ぶ」という、方法なのではないだろうか?

そのような、「地域に合わせたマーケティング」は、やはり必要だと思うのだ。