日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

考えない、思い込みが招く不幸

2017-10-28 20:09:55 | アラカルト

大阪の府立高校の女子生徒が、元々茶色がかった髪の毛を「校則」の為に、黒く染めることを学校(あるいは、教師)に強要されるだけではなく、授業を受けさせてもらえない、修学旅行に参加させてもらえない、という精神的苦痛を受けたことで、大阪府を訴える、というニュースが報じられている。
毎日新聞:損賠訴訟「髪染め強要で不登校」高3、大阪府を提訴

今でもこのような教師や学校があるのか?と、驚くばかりだ。
私が中学~高校の頃は、パーマ禁止ということはあり、くせ毛の私などは毎回のように担任から冷たい視線を浴びせられたことは、記憶に残っている。
「心の傷」となった訳ではないが、そのような視線で私を見る担任に対して、「馬鹿だな~」と思っていたような気がしている。
ちなみに私が「パーマの注意ターゲット」になっていた為、パーマをかけてくるクラスメイトもいた。
要は、くせ毛なのかパーマなのか見分けがつかず、適当なターゲットを見つけて注意をしている、というポーズをとっているだけなのだ(と、当時の私は理解していた)。

時代が大きく変わり、「女子高校生」がいつしか「JK」などと記号化されるようになってくると、お化粧はもちろん、パーマをかけたり茶髪にする女子高校生も現れてきた。
お化粧などは、OLよりも丁寧に綺麗にしている女子高校生も多く、「お化粧に気合が入っているな~」と感心をしたほどだ。
そのような女子高校生が、社会の話題になったこともあり、社会が寛容になったのかな~?と、思っていたのだが、決してそうではなかったようだ。

「金髪の留学生でも、黒く染めさせる」と学校側(あるいは生活指導担当教師)が、言っていたという報道もある。
実際、金髪の留学生の髪の毛を黒く染めさせていたのかはわからないし、そもそもそのような学校が、金髪の留学生を受け入れていたのか、大いに疑問のところだ。
何故それほどまでに「黒い髪の毛」に、こだわっていたのだろうか?
おそらく「日本の学校にいる生徒は、黒髪であることが当たり前」という、思い込みがあり、校則にもそのような記述があったのでは?と、想像している。

このような校則がある理由の一つは、おそらく「服装の乱が生活の乱れにつながり、不良の第一歩」ということがあったのではないだろうか?
私のくせ毛が、担当教師の注意ターゲットになった大きな理由は、それだったからだ。
「服装の乱れ」の一つが、茶髪にすることである、と考えた時「生活態度に問題がある」と、決めつけることで、生徒自身の姿を見ることを止めてしまい、と同時に考えることも止めてしまったのだと思う。
「茶髪は当校にふさわしくない生徒」と、レッテルを貼ることで機械的に処理することが、一番簡単で煩わしくないと思っていたのではないだろうか?

しばらく前に、ナチスの親衛隊の一人であったアイヒマンについて、エントリをした。
その時も書いたと思うのだが、アイヒマン自身は凡庸で、どこにでもいるような男だった。
そのごく普通の人物であったはずのアイヒマンが、ホロコースト史上最悪な人物となった大きな理由は「自分で考えることをしなかった」ためだった。
そして、アイヒマン自身が考えることをやめる代わりに作りだしたのが、「命令に対して従うだけ」というルールだった。

今回のこの報道を読んで感じたことが、学校も教師も「アイヒマン」になる要素がある、ということだ。
多感で感受性豊かな時に、このような学校や教師に出会ってしまった彼女だけではなく、生徒全てがかわいそうな気がする。