日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

学力よりも教養?!

2017-10-09 11:42:31 | アラカルト

日経新聞のWEBサイトを見ていたら、「こんな仕事の人が、こんなテーマのエッセイ?!」という、記事があった。
日経新聞:紫式部は、なぜ源氏物語を書いたのか?
この記事を書いたのは、大阪ガスのエネルギー文化研究所の所長さん。
確かに「文化」という言葉はあるが、あくまでも「エネルギー」に対しての文化という意味だと考えるとやはり意外な印象があるが、文を読むと「なるほど!」と、思うことばかり。

タイトルとなっている「源氏物語」そのものがとても長い話で、高校の古典の授業でも、その一部(私の時は、「桐壺」か「若紫」、「明石」だったという記憶がある)しか学ばない。
「末摘花」のような、地味?で話の筋からやや外れるような話は、受験でも使われることはまずない為、授業で取り上げられることはない。
まして、「なぜ、源氏物語を書いたのか?」ということなど、学んだ記憶も薄ければ、気にしたことも無い。

イタリアの靴職人が、ダンテの「神曲」を話し、フランスのデザイナーがバルザックを熱く語るのかどうかは知らない。
ただ、本業と関係の無いことであってもイタリア人の教養としてダンテの話をし、フランス人の当たり前として、バルザックを語る、ということなのだろう。
自分の国が輩出した、文化人のことをどれだけ知っているのか?という、学力ではない教養という部分で、どれだけ「知の蓄積」がされているのか?という、ことなのだと思う。

マーケティングという仕事は、まさにこのような「知の蓄積」が必要とされる仕事だと、実感をしている。
なぜなら、一つのデータから様々な物事を結び付け、考えるのが仕事だからだ。
「一つの点となるデータ」から「全く違う異質なデータ」の関連性を見つけ、結びつけ、それを事業化するため地図を創っていくのが、本来の仕事だからだ。
決して、市場調査や広告だけが仕事ではない。

このような「事業化するための地図を創る」為に必要なことは、マーケティングに限ったことではないのでは?
だからこそ、ドラッカーは「マーケティングはビジネスの基礎知識」と、言い続けていたのだと思う。
にもかかわらず、日本のビジネスパーソンの多くは「How to」ばかりを求める傾向が強い。
確かに「How to」を知ることで、その部分の知識を得ることはできるが、応用となるとできなくなってしまう。
一つの知識から、他の物事への展開が苦手なのだ。

「効率」が求められる今だからこそ、「知の蓄積」が必要なのではないだろうか?
表層的な情報のかき集めではない、自分の中に貯めていける教養なら、いつでも引き出すことはできるし、自由に組み合わせることもできる。
混沌としたビジネス社会だからこそ、自分の仕事とは関係のない分野への興味・関心が大切な気がするのだ。
言い換えれば「(ビジネスの)地図を創る、プロデュース力の基礎が教養」ということになるのかもしれない。