日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

時には、和む場所で仕事をするのもいい

2018-05-07 16:05:30 | ビジネス

ファッション専門誌、WWDにチョッと面白い(?)記事があった。
WWD Japan:谷中の築100年の古民家に移転した、大丸松坂屋・未来定番研究所

築100年の古民家に、いわゆるシンクタンク会社のような施設を設ける、というのはチョッとどころか随分珍しい気がする。
というのも「シンクタンク(会社)」という言葉がもてはやされた頃、大体都市の中心にある高層ビルに、構えること多かったからだ。
「多かった」というよりも、大体そのような場所に設けられていた。
何故なら、様々な情報が集まりやすい場所である、ということが条件だったからだろう。

それが今では、様々な情報はネット上にあり、ネット上に無くてもネットで探すことができるようになってきた。
そうなると場所の問題ではなくなってくる、ということだろう。
むしろ、様々な情報を分析し、そこから「未来を考える(重要なことは、予測するのではなく「考える」という点だ)」ためには、それなりのゆとりのある場所のほうが向いているのかもしれない。
何より、今後5~10年の間消費の主役となるのは、団塊の世代~高度成長期に生まれ、育った人たちだ。
その世代にばかりにフォーカスしすぎるのは問題だが、人口統計的に考えればこの世代が、様々な業種での主役となっていくことが分かる。

このような主役となる世代がある程度把握できれば、新しい主役となる世代を見つける時間も出てくるはずだ。
何より、今回大丸松坂屋の未来定番研究所が移転した築100年の古民家は、団塊の世代~高度成長期に生まれ・育った世代にはどこか懐かしく、それでいて新しい主役となる世代にとっては、それこそ「新しい」場所だ。
そのような「空気感」のある場所で、これからの社会の姿を考える、というのも悪くはないと思う。
そしてこのような試みは、首都圏に近い地域にある古い建物のリノベーションにもつながっていくかもしれない。

最初は、通勤圏という時間的制約のある場所に限られるかもしれないが、「様々なデータや資料を読み、分析をしていく時間」の合間に、豊かな自然を眺めたり、あるいはチョッと出かけたりすることで、気持ちが切り替えられ、それまでとは違う発想や考えが、生まれるかもしれない。
おそらく多くの人が経験をしていると思うのだが、お風呂に入っていた時や一時期的に仕事を離れた時に、アイディアが浮かぶということは無いだろうか?

あくまでも個人的な意見だが、考えること、発想することという作業は、大量生産することができない。
成果主義が盛んに言われていた頃は、クリエイティブが求められる職種であっても、「発想の数」が求められていた。
だが「数」と「内容」が、合致するというケースなどほとんどない、と思っている。
ましてこれからは、AIの技術の発展と一般化に伴い「量」ではなく、「質」を問うような仕事が求められてくるはずだ。
生産効率を求められる仕事は、どんどんAIに取って代わられていくだろう。

そう考えると、仕事の質をあげる為にも時にはのんびり和むような環境で、仕事をすることも十分アリかもしれない。