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正当な価格を知ることが、ライフスタイルにも影響する?

2018-05-11 18:33:04 | ライフスタイル

先日、Yahoo!などのトピックスなどで、「H&MやZARAなどがモヘアの使用中止」という話題が取り上げられていた。
ファッションに詳しい方なら、「やはり!」という気持ちで読まれたと思う。
しかし「ファッションは好きだが、素材などに興味が無い」という方にとっては、「何を言っているのか分からない」という内容だったような気がする。
CNN:H&Mやザラ、モヘアの使用中止を発表

ここで問題になっている「モヘア」というのは、洋服などの素材として使われる羊毛の一種だ。
とても高級な素材で、毛足が長く、「ふわふわ」した肌ざわりが特徴的な羊毛だ。
セーターだけではなく織物などにすると、軽く暖かい。
手編みをされる方なら、その質感の良さと毛糸の価格が高いことは、よくご存じだろう。
ただ、とても高級な素材のなので、有名ファッションブランドの商品でなくても、とても気軽に買えるような値段で販売されるようなことは無い。
むしろこの記事を読んで、初めてファストファッションのブランドでもモヘアの商品を扱っている、と知って驚いたほどだ。
もちろん、「モヘア」と言ってもピンキリだとは思うのだが、ファストファッションには向かないような素材である、ということは確かだと思う。

ただ、このような高級素材がファストファッションに使われる、ということは珍しいことではない。
カシミアなどは、その代表例かもしれない。
「モヘア」よりも高級とされている「カシミア」だが、以前に比べ随分一般的な素材となってきたような気がしている。
元々それほど生産量が多くないうえに、生産量を増やすには限度がある、という素材だからだ。
「カシミア」や「モヘア」、「アンゴラ(国名ではない)」などは、元々生産量が多くないうえに、羊毛を取るための動物たちの飼育環境も、なかなか難しいと聞いている。
それは、ラクダの毛を梳いてとる「キャメル」や、ペルーの「アルパカ」なども同じだ。

しかし、ファストファッションを購入する人達は、その素材がどれほどのものなのか?ということを知って買っているわけではないと思う。
そのコトを悪く言うつもりはない。
素材の良し悪しの含蓄を知ったからと言って、何かプラスになるわけでもないと思う。
ただ、素材の価値を知ることで、着ることが楽しくなるだろうし、服そのものを大切に扱うようになると思うからだ。

ファッションの世界では、季節ごとにファッションショーが開かれる。
そのたびに、トレンドが云々と言われ、そのことに振り回されてしまうこともある。
一つ知っておいて欲しいと思うのは、ココ・シャネルは無くなったとき自宅のように使っていたホテル・リッツのクローゼットには、お気に入りのスーツが3着しかなかったと言われている。
もちろん、オリジナルのスーツなので、素材そのものは最高級品を使っていたはずだ。
最高級品だからこそ、丁寧に大切に着る、それは「シャネル」という一大ブランドを築き上げた、シャネルの生き方そのものだとすると、私たちも参考にすべき価値の知り方なのではないだろうか?