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発想を変える時代た

2018-05-16 13:53:54 | 徒然

一昨日、トヨタ自動車が3月期の連結決算発表をした。
日経新聞:トヨタ決算発表(動画)

この動画を見ながら、「発想を変える時代がやってきているな~」という気がした。
何もトヨタ自動車の豊田章夫社長の話している、「100年の大チャンス」という意味ではない。
会見の動画を見ながら、いくつか「引っかかる言葉」があったからだ。

その一つは、「トヨタらしさ」の一つとして「トヨタ生産方式と原価低減」と話されている場面だ。
確かに、トヨタの生産方式というのは、「乾いたぞうきんをさらに絞る」と言われる程、無駄の無い生産により、原価低減が行われていると言われているが、この言葉が「下請けに納入価格を下げさせるだけ、下げさせているのでは?」という、ニュアンスで受け止めてしまう部分もあるような気がしている。

理由は、自動車産業そのものが下請け・孫請けなど関連する仕事の裾野が広い産業だからだ。
日本の企業の多くは中小零細と言われており、単に「トヨタ方式の原価低減」を推し進めるだけでは、どこかに「歪」が出てきているはずだ。
その「歪」を受けているのは、トヨタのような大企業ではなく、自動車産業を支えている裾野の企業なのではないだろうか?
自動車産業を支えている裾野の企業で働く若い世代に対して、どう考えているのか?ということが、問われているという認識があるのだろうか?と、疑問に感じたのだった。

そして、この時豊田章夫さんが言った「MaaS」ということばのとらえ方によっては、豊田章夫社長が描く将来像と大きく違ってしまうのでは?という、気がした。
そして個人的には、トヨタ自動車(だけではなく自動車産業全体というべきかもしれない)にとって、とても厳しい社会になっていくのでは?という気がしている。

「MaaS=Mobility as a Service」ということだが、日本語に訳すと「サービスとしての移動性」という、訳の分からないというか、雲をつかむような意味となってしまう。
豊田章夫社長が注目したのは「移動性」という部分であって、サービスという部分にはあまり注目されていないような印象を受けたのだ。
あくまでも「自動車」という「物体が提供するサービス」であって、「サービスを提供するために移動性とは何か?」というニュアンスには、受け止められなかった。

実は、トヨタ自動車と名古屋大学との共同で、自動車同士が連絡を取り合うようなシステム作りをしている、という研究発表会に出かけたことがある(目的は、まったく別の研究発表だった)。
もちろんこの研究には、自動運転などの研究が含まれていて、高齢化社会に向けての「自動車づくり」という視点だったような印象があった。
話を聞いたときには、「なるほどね~」という程度の認識でしかなかったのだが、そもそもその「そのような自動車づくりって、必要ですか?」という気がしたのも事実だった。
「人が移動する為のサービス」に、AIの技術が加わりIoTにより、より快適になる、ということであれば、何も自動車にこだわる必要はないのでは?と、思ったからだ。
「トヨタ自動車は、自動車メーカーのMaaSをつくる」のではなく、「人が快適に、自由に移動するためのサービスツールを創る」という発想を転換する必要があるのでは?

自動車産業という裾野の広い産業だからこそ、自社以外で働く人の姿を見たうえで、これまでとは違う考えや発想が日本を代表するトヨタという企業であっても大変なのでは?