日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

制度を導入しても、失敗をする理由

2018-05-15 21:14:46 | アラカルト

昨日、朝のFM番組を聞いていたら「フリーアドレス」と言う言葉が、気になった。
この場合の「フリーアドレス」というのは、GoogleやYahooなどが提供している、インターネットで使うe-mailのアドレスのことではない。
オフィス内に固定した席を設けず、その日の業務内容に合わせて、席を移動して仕事をする、というスタイルのことを指している。
以前話題になった「ノドマワーク」のオフィス版、という感じだろうか?

このような「固定された席を必要としない」ことができるのが、ノートPC(あるいはモバイルPC)やタブレットPCなどの普及によって、様々な情報がクラウド上に集められ、情報の共有化がしやすくなったためだと言われている。
日々の仕事に合わせて、一緒に仕事をする仲間を変えながら仕事をする、というのは、どことなく「時代の最先端」という気がする。
そして今、このようなオフィスが増えている、という話だった。

確かに、仕事の業務内容に合わせて集まり、解散をする、というのは効率的な部分もあると思う。
何故なら、業務内容に合わせて会議室に度々集まる、というのはある非効率的だからだ。
それでなくても、日本の企業には「必要のない会議=会議の為の会議」が多い、と言われている。
ただし、そのような業務を抱えているビジネスパーソンであれば、という条件付きだと考えている。

今のオフィスでの机の並び方というモノが、どういう状況になっているのかよく理解していないのだが、このような「フリーアドレス」で仕事ができる人と、できない人がいるのでは?という気がしている。
例えば、人事や経理といった部署では「フリーアドレス」という形態で仕事をする意味が、どれほどあるのか?
おそらく「フリーアドレス」で効率よく仕事ができる業務というのは、営業や広報といった対外的なつながりがあり、打ち合わせなどが頻繁に行われる業務なのでは?

日本では何かと「話題」になると、とりあえず導入してみる(というか、飛びついてしまう)という傾向があるような気がしている。
その中には、「話題」となっているモノ・コトの本質というか、目的と効果を十分に検討せずに、導入したのでは?と思われる場合も少なくない。
そして失敗をすると、今度は「羹に懲りてなますを吹く」ようになってしまう傾向がある。
その理由として「日本独特の『減点主義』的発想」がある、とも言われている。

FM番組ではむしろ「制度を導入した時点で、満足をしてしまう」という問題を、指摘されていた。
何より、一番の問題は「フリーアドレス」の一番の効果と言われている「フラットな職場環境」からかけ離れた、「役員室」の存在だという。
重厚な両袖机。その上には、稟議決裁の箱が置かれ、皮張りの椅子。場合によっては、チョッとしたソファーとテーブルがあるかもしれない。
そのような役員室の存在が、「風通しの良いフラットな職場」で働く人たちのやる気を、減退させる要因となっている、という指摘だった。

昨日エントリさせていただいた「お墨付き」があることで、満足してしまう、という感覚に近いのかもしれない。
そしてこの「制度ができた」ことに満足し、実際の運用ができない、ということが、これまで「話題」優先で日本の企業が導入し、失敗をしてきた原因だったのではないだろうか?
「フリーアドレス」というオフィスだけの問題であれば、さほど問題にはならないと思うのだが、これが今国会で審議予定となっている「働き方改革」などであれば、一歩間違うとブラック企業を量産するリスクにもなるのでは?という、気がしている。