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「お墨付き」だけで、地域の活性化はできない

2018-05-14 20:10:49 | ビジネス

Yahoo!のトピックスに、「仕方ないか?!」という気になった記事があった。
取り上げているのは、京都新聞の記事で「山陰ジオパーク」についての記事だ。
京都新聞:山陰ジオパークに「イエローカード」 京都、認定取り消し危機

ユネスコの「世界遺産」ほど、メジャーではないユネスコの「ジオパーク」。
意味としては「大地の公園」ということになるようだ。
「公園」と言っても、風光明媚というよりも自然が創り出した地形やその地域に住む生物などの生態系などを含めた「公園」ということのようだ。
その「公園」としてユネスコから2010年に日本で4例目として認定された「山陰ジオパーク」だが、認定された地域全体での連動的な活動が無く、認定取り消しの危機に陥っている、というのが、記事の内容だ。

確かにこの「山陰ジオパーク」そのものは、京都府・兵庫県・鳥取県と1府2県にまたがる、広い地域が対象となっている。
当然、関係する市町数もそれなりにあるはずだ。
府県を含めた自治体の連携そのものができないのは、ある意味仕方ないというか、予測できたことかもしれない。
何故なら、府県だけではなく自治体の規模や使えるお金(=税収)なども大きく違っているからだ。
「山陰ジオパーク推進協議会」という、独立した組織はあるようだが、地域全体をまとめ、活動をしていく為には「ジオパーク」そのものの「価値」や各自治体にもたらすメリット、それによって起きる各地域の活性化などの、具体的なビジョンの共有がされていなければ、難しいだろう。
そのような対象地域全体のビジョンを含めた共通認識がされていたのか、やや疑問に感じている。
というのも、「世界ジオパーク」に認定されてから、何度か推進協議会のHPなどを見ていたのだが、協議会のある豊岡市は積極的だが、他の地域からの情報発信などがあまりされていないように感じていたからだ。
だからと言って、他の地域の自治体から「ジオパーク」に関する情報発信が積極的にされていたのか?というと、そのような感じでもなかった。

ここの自治体にもそれぞれの事情があると思うのだが、「世界ジオパークに認定された」というところが、ゴールとなってしまい、「世界ジオパークに認定された」という地域資産としての価値が十分理解されていなかったのでは?という気がする。
ここの自治体で独自の活動をしつつ、認定された地域全体の一体感を保つ、というのはとても難しいことだという認識が出来ていなかった、ということもあるだろうし、ここの自治体そのものが「自分たちで、どのようなアクションをすれば、魅力的な情報発信となり、地域の活性化に結びつけることができるのか?」という、アイディアを持っていなかったという点もあるような気がしている。

イエローカードが出てから、各自治体がいろいろなアクションを起こし始めているようだが、時すでに遅し・・・とならなければ良いのだが、果たしてどうなるのだろう?
「ユネスコ認定」というお墨付きが、地域活性化に結び付く、と思い込んでいたような気がしてならない。