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ユーモアのセンスは、企業価値を高める

2018-05-31 22:51:50 | ビジネス

Huffpostを見ていたら、ユーモアのセンスは企業価値を高める要素かもしれない、と感じさせる記事があった。
Huffpost:「”人種差別”という副作用はありません」差別発言をした女優に製薬会社が反論ツイート

記事の前半部分だけを読むと、今だに米国には根深い人種差別の意識が残っているのだな~と、感じさせる内容だ。
実際、ここ数年白人警官が黒人を殴打したり、場合によっては問答無用で銃を発砲する、という事件が度々あった。
アフリカ系のオバマさんが大統領になる時代であっても、このような事件が起きるのか?!と、嘆かわしい気分になった方も多いのではないだろうか?

それがトランプさんが大統領になって以来、人種差別的傾向は顕著になりつつあるような気がしている。
トランプさんがいくら「人種差別の意識はない」と言っても、トランプさんの支持者の人たちが「人種差別的は発言」がされると、「トランプは、人種差別を支持している」と思われても仕方のないような状況である、と思っている。

そのトランプ支持派の女優さんが、これまたトランプさんお得意のTwitterで人種差別的ツイートをして、炎上したらしい。
その言い訳に、ある睡眠薬の名前をあげたツイートをしたため、今度はその睡眠薬を製造している製薬会社が、相手を非難することなく明快に企業の考えに、炎上の切っ掛けとなった人種差別と言う言葉を使ったユーモアで反論をしている。

もし、この製薬会社が真っ向から反論をしていたら、炎上をした女優さんは、再び(過激な)リツイートをしたかもしれない。
場合によっては、製薬会社の公式Twitterが炎上するようなことに、なっていたかもしれない。
名前を挙げられた製薬会社側からすれば、とばっちりもいいとこなのだが、SNSなどの場合このような「予期せぬもらい事故」のようなことは起きる可能性は高く、反論の仕方によっては炎上する可能性もあるはずだ。
だからこそ、この製薬会社のようなユーモアというオブラートに包んだ反論の仕方が、重要になってくる。

それだけではなく、このようなユーモアのセンスはTwitterを読んだ人に、好印象を与えることにもつながるのではないだろうか?
今回そのポイントとなっているのが、「副作用」と言う言葉だ。
私たちは、日ごろ使う薬には「副作用はない(あるいは、ほとんどない)」と思っている節がある。
ところが、市販薬でもパッケージや取扱説明書、CMなどでも「副作用」についての告知は、しっかりとされている。
いくら安全性が高いとされている薬であっても、「副作用」そのものは避けられないことでもあるのだ。
このような「ネガティブ」な言葉を使いつつも、人の意識で変えられる「人種差別」には「副作用はない」というメッセージは、堅苦しくなく分かり易く伝わる。
結果、この製薬会社の企業イメージは、大きく好意的なモノになっているはずだ。

この製薬会社のツイートを「ユーモア」と捉えるかどうかは、人それぞれかもしれないが、真っ向から反論するのではなく、自社のネガティブな要素をプラスに転じるような言葉が使えるというのは、やはり「ユーモアのセンス」が必要なのでは?と、思うのだ。

果たして、日本の企業はどうだろう?