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医療情報は、正しく知りたい

2018-05-17 19:45:31 | 徒然

西城秀樹さんの突然の訃報。
私の世代であれば、小学生の頃からのアイドルで、カレーのCMでは多くの子どもたちが真似をした、という思い出を持っていると思う。

その西城さんが、一番最初の「脳梗塞」に倒れられたのが2003年だった。
40代での「脳梗塞」発症というと、随分若い気がするのだが、実はミスターチルドレンの桜井和寿さんは、32才で同じく「脳梗塞」で倒れられ、長期の治療を余儀なくされている。
桜井さんは、その後順調に回復をされ「脳梗塞」を再度発症することなく、お元気に活動されていることは、ご承知の通りだ。
むしろ気になるのは、西城さんの今回の死因が「心不全」で、「脳梗塞」の2度発症されている、という点だ。

「脳梗塞」と「心不全」は、別の病気であることには違い無いのだが、要因となるのは血管に「プラーク」と呼ばれる、塊ができることだ。
「原因」となるモノは、「心不全(心筋梗塞)」も「脳梗塞(他脳卒中全般)」は、同じということになる。
「脳梗塞(他脳卒中全般)」の治療は、脳外科で行うことには変わりないのだが、要因という視点では同じということから、死亡要因としては循環器外科や脳外科の医師の中には「心疾患と脳血液疾患」は、「血液疾患」としてデータ上一緒と考えても良いのでは、と言われ方もいらっしゃる。
そう考えると、西城さんの「脳梗塞」と「心不全(心筋梗塞か?)」は、決して別の病気と捉えるのではなく「循環器の病気で、発症した場所が違っていた」と考えても良いのかもしれない、という気がしたのだ。

それだけではなく、1度目の「脳梗塞」を発症されてから、健康に気を使っていたにもかかわらず、2度目の「脳梗塞」、今回の「心不全」と考えると、西城さんの血液そのものに「プラークをつくりやすい何か」があってのでは?という気もしてくる。
というのも、今年のお正月に読んだ「遺伝子医療革命」の中に、「ゲノム(=遺伝子情報)」を使った未来の健康管理という話があり、その中に「一連の遺伝子バリアント(ゲノム上の同じ位置にあるDNA相互の並びの違い)によって、コレステロール値は正常であるにもかかわらず、血小板の粘り気があり過ぎる為に、心臓発作のリスクが通常よりも高い」という内容の一文があったからだ。
「血小板の粘り気」ということも、遺伝子検査でわかるような時代になってきているのか?ということを思いながら、この文章を読んだのだった。
そして今回の、西城さんの訃報で、この文章を思い出したのだ。

西城さんの話からは、離れるのだが今日の朝日新聞に「遺伝性乳がん」についての記事が掲載されていた。
朝日新聞:遺伝性乳がん「もう一方の乳房切除も強く推奨」学会
この記事の内容そのものは、分かり易い内容だと思う。
ただそれは、私が乳がんという病気に罹患し、それなりに「乳がん」という病気に対する知識があるからだ。
この記事を読んだ方の中には「乳がんになったら、両方の乳房を切除しなくてはならないのか?」と、不安に思われる方もいらっしゃるのではないだろうか?
そして「遺伝子検査」を受けるにしても、検査料は実費で25万円ほどかかる。
もちろん、専門の「遺伝子カウンセラー」からの説明を受けたうえでの、患者判断となる。
そのような情報を、どれだけの市民が持っているのだろう?
このような情報が出る前に、「遺伝性乳がん」について「親戚に若くして乳がん、卵巣がんになった女性はいるか?男女問わず、すい臓がんで亡くなった人はいるか?」などの「家族や親戚の病歴」を調べることで、いきなり25万の「遺伝子検査」をする必要はなくなることもある、という情報を持っていれば、同じ情報でも受け止め方は随分違ってくるのではないだろうか?

もしかしたら、西城さんの場合も家族や親族に、同様の死因で亡くなられた方が、何人もいらっしゃったかもしれない。
今や医療の中心は、「遺伝子レベル」へと移行し始めている。
だからこそ、受け手となる私たちも積極的に「正しい医療情報」を知る時代に来ているのではないだろうか?
と同時に、玉石混交の「医療情報」の中から、科学的根拠のある医療情報に簡単にアクセスすること、その内容が分かり易いことなど、日本ではまだまだ立ち遅れているような気がする。