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マンガ読者も高齢化?

2018-05-30 21:46:39 | アラカルト

Yahoo!のトピックスに、集英社の女性向け漫画雑誌「YOU」の休刊が、取り上げられていた。
集英社:月刊YOU公式サイト
先週だったと思うのだが、同じくマンガ雑誌「別冊花とゆめ」が休刊になる、というニュースもあった。
「YOU」と「別冊花とゆめ」の読者層は、同じではないがマンガ雑誌の休刊が増えているように思う。
35年くらい前に、大人の女性向けマンガ雑誌の創刊ブームがあったように思う。

「花とゆめ」の中心となる読者は、小学校の高学年くらいから中学・高校くらいだと思う。
「別冊花とゆめ」は、おそらく「花とゆめ」を卒業した年代を読者層としていたのでは?という、気がしている。
同様に「YOU」も、集英社の少女マンガ雑誌のファンをそのまま引き継ぎながら、大人の女性のマンガという市場を創ってきたのだと思っている。
そして「休刊」する、ということは単に雑誌としての発行部数の低下だけではないのでは?という、気がしている。

それは「読者層の高齢化」だ。
例えば「花とゆめ」に掲載され、その後「別冊花とゆめ」に掲載されている「ガラスの仮面」。
おそらく初連載から既に40年くらいの月日が流れている作品だと思うのだが、「ガラスの仮面」の読者はおそらく40代以上のような気がする。
というのも、昨年暮れJR京都伊勢丹の美術館で「ガラスの仮面展」が開かれいて、美術展の紹介として京都駅でも一部展示がされていた(偶然、京都に出かけた時に見た)。
その展示に足を止める人達の多くは、40代~50代半ばと思しき女性ばかり。
今の「花とゆめ・別冊花とゆめ」の読者とは違うのでは?という、印象を受けたのだ。
「ガラスの仮面」そのものが、休載が度々ある為話が遅々として進まない、ということはあるにせよ、今の感覚とは随分違ったマンガになってしまっているような印象は否めない。
反面、熱心なファンも数多くいるのは事実だ。
その熱心なファンというのが、京都駅で展示を見ていた世代の女性たちでもあるのだ。

この傾向は、少年マンガでも起こっている。
1990年代、「少年週刊ジャンプ」の発行部数は、653万部という驚異的な数字だった。
このころは、発売日の夕方地下鉄に乗ると、その日に発売された「週刊少年ジャンプ」を読みふけるサラリーマンの姿を数多く見かけた。
ところが、2000年代に入ると急激に発行部数を落とし、今では3割程度にまで落ち込んでいる。
日本と世界の統計データ:4大マンガ雑誌(少年ジャンプなど)の発行部数推移

確かにこのころの「週刊少年ジャンプ」には、人気のあるマンガ家さんたちが集まっていた。
今でいうなら「魅力あふれるコンテンツが目白押し」だった、ということになるだろう。
そして「ガラスの仮面」のファンと同様に、このころの少年ジャンプのファンの方たちは今でも集まると「スラムダンク」や「ドラゴンボール」の話で盛り上がるのだ(という光景を、何度も見ている)。

夕方、仕事帰りの人たちは何をしているのか?というと、スマホの画面を見ながらゲームやLINEをしている姿ばりだ。
「紙のマンガ」が読まれなくなっただけではなく、「マンガ」そのものがそれまで主な読者層だった人たちが読んでいないのでは?という気がしている。

だからと言って、マンガが廃れるということはあまり考えられない。
特に大人向け(アダルト向けではない)のマンガは、ある程度ヒットすればその後、ドラマ化されるケースが多いからだ。
4月期のテレビドラマでいうなら「花のち晴れ」や「ディジー・ラック」など、マンガが原作となっているドラマが、毎期ある一定数あるからだ。
もしかしたら、これからはネットを含むドラマ化などの「メディアミックス」を最初から考えた、マンガに変わっていくのかもしれない。