日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「利点・利益・価値」を考える

2018-05-08 20:43:26 | マーケティング

先日、買い物をしているときにフッと気づいたことがある。
それは、ビジネスでよく使われる「メリット・ベネフィティング・バリュー」という言葉の違いだ。

ビジネスの場面で「顧客メリットを考える」ということを、よく耳にする。
「顧客メリット=顧客の利点」を考える、という意味だ。
そして「顧客のベネフィティングを考える」も、良く言われる言葉の一つだと思う。
「顧客のベネフィティング=顧客利益」を考える、ということになる。

これらの言葉は、いずれも「顧客の立場になって考える」ということが、重要だとされているが、本当だろうか?と、気になったのだ。
「マーケティングの発想は、顧客側の視点で発想することが、重要だ」と言われている。
営業で言われる「セールスポイント」と言う言葉が、「企業側から考えている」ことばとしてよく言われ、それに対して「顧客メリット」や「顧客のベネフィティング」は、生活者視点で考えることと言われている。
様々なビジネスセミナーで、言われてきていることなので、ご存じの方も多いのではないだろうか?

しかし、本当に「メリットやベネフィティング」という視点が、生活者に何等かのプラスを与えているのだろうか?と、思ったのだ。
もしかしたら、「生活者価値」ということを考えたうえで、「生活者に対する利点や利益とは何か?」と、考える必要があるのでは?

これまではの発想の順番は「生活者の利点」→「生活者利益」だったように思う。
確かに「生活者の利点」が無ければ「利益」も生まれてはこない。
「利益」があるからこそ「価値」も生み出される、ということには違い無いはずだ。
だが、今の社会のように多様で複雑化した社会の中では、このような順番で発想しているだけでは、「新しい何か」が生まれてこないようなジレンマを感じている方も少なくないのではないだろうか?
であれば、「順番の逆から発想してみる」ということも、必要な気がしたのだ。
違う言葉に置き換えるなら「既存の発想からの脱却」ということかもしれない。

その為には、何が必要だろう?
おそらく「生活者の抱えている問題」を探し、向き合う、ということのような気がしている。
日本の場合「ものづくりにたけている」と、言われ続けてきた。
確かに、戦後から高度成長期を支えてきたのは、製品づくりと言っても過言ではないと思う。
「(米国製品に比べ)安価で、丈夫。壊れにくいだけではなくアフターサービスも充実している」というのが、日本の「ものづくり」を支えてきた。

その「ものづくり」に縛られた発想では、次の新しいイノベーションを起こすことが難しくなってきている、というのが今の社会だと思う。
とすれば、「生活者の問題解決ができる」という「価値」を見つけ、そこから「生活者利益」や「生活者の利点」に落とし込んでいく、という方法も一つなのでは?