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文房具の伊東屋のFacebookページ閉鎖から見えてくる、顧客に対する意識

2018-05-25 20:42:25 | ビジネス

Facebookからの個人情報の流出、という事件が発覚したのは3月のことだったように思う。
GWの頃には、抜き取った個人情報を売っていた?イギリスの企業が倒産した、というニュースがあった。
その間にはFacebookのザッカ―バーグ氏が、公聴会への出席などがあり、今現在は一応落ち着いている、という状況になっている。

Facebookをされている方ならお分かりだと思うのだが、Facebookには様々な広告が表示される。
表示される広告主は、自動車メーカーから化粧品、食品から雑誌など様々だ。
一度「いいね」をすると、自動登録され(るらしく)しばらくは、その企業の広告が表示されることになる。
例え自分が「いいね」をしていなくても、Facebookでつながっている誰かが「いいね」をすると、自分のFacebookページに表示される、ということになる。
この広告表示を「うっとうしい」と見るか・否かは別にして、今やFacebookは、広告媒体として有効なモノと企業は認識をするようになっている。

そのような状況の中、東京・銀座にある有名文房具店・伊東屋がFacebookページを閉鎖するようだ。
Huffpost:文房具の伊東屋、Facebookページを閉鎖へ 5万「いいね」に驚いている
記事中にもあるが、個人情報流出発覚後、テスラやスペースXなどが、Facebookページを閉鎖してはいるが、日本の企業がFacebookページを閉鎖する、というのは伊東屋が初めてではないか?という、気がしている。

伊東屋が、Facebookページを閉鎖するという判断に、「顧客の情報」という視点によるものである、という点には注目する必要があると思う。
Facebookの機能には、上述した通りFacebookには登録者の個人情報があり、その情報そのものを見ることができるからだ。
そこには出身地や出身校、過去から現在に至るまでの勤務先など事細かな情報を見ることができる。
いくら顔写真をアップしていなくても、登録者としての個人情報はそれなりに見ることができる、というのがFacebookの特徴でもある。
おそらく企業にとって、顔写真よりも登録者の個人情報のほうが、欲しい情報だと思う。
だからこそ、広告媒体としてのFacebookを利用しているはずなのだ。

今回の伊東屋のFacebookページ閉鎖は、伊東屋にとって登録者の情報よりも登録者の個人情報の保護を選んだ、という決断になる。
Facebookの個人情報流出というのは、伊東屋にとってではなく、登録者である顧客にとって大きなリスクである、という判断をしているからだ。
そう考えると、今回の伊東屋の判断は「顧客の利益を最優先する」という企業の姿勢を表したモノである、ということになる。

元々伊東屋には、数多くの顧客やファンがいるはずだ。
その顧客やファンにとって、今回の判断はとても安心ができるモノだと思うし、この判断ができたことでますます伊東屋のファンが増えるのではないだろうか?