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AIに負けない子供を育てるには

2018-05-05 20:16:51 | ライフスタイル

GWも終盤。
GW、ある本を読んでいた。
タイトルは、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」だ。

センセーショナルなタイトルということもあり、出版されてからベストセラーになっている。
読まれた方も多いと思う。
本の内容は、作者である新井紀子さんがトップとなって進めている「東ロボくん」の話だ。
「東ロボくん」は、ご存じの方も多いと思うのだが「東大合格を目指す、ロボット」。
今現在は、「MARCH(明治、青山、立教、中央、法政)」の合格レベルにまでなっている、という。
「MARCH」と書くと、なんとなく手が届きそうな大学のように思えるが、改めて大学名を列挙していくと、決してそうではないことが分かる。
作者である新井さんは、それでも「東ロボくん」は東大合格は難しい、と思っているようだ。
その理由は「文章の意味を理解する」という力が、「東ロボくん」は決定的に身に付けることができないからだという。

作者である新井さんが、何度も書かれているのだが「東ロボくん」は、あくまでも「0と1」という数字によって四則計算を行う「計算機=コンピューター」である、というのがその理由だ。
「0と1」という数字を積み重ねても、「文章の意味を理解する」ということにはならない。
何故なら「意味」には複数の要素が入っており、それを分解し統計や確率などを集めても限界がある、ということらしい。
それは「東ロボくん」の問題ではなく、スーパーコンピューターと呼ばれる「京」であっても、同じことになるという。
言い換えれば、今盛んに「AIによって仕事がなくなる」と言われているが、AIによって失われる職業は「0と1」で分解され、統計や確率などを使うことによってコンピューター自身が成長していく(=人工知能)ことができる職業ということになるという。

ここで問題になってくるのは、人が「文章の意味を理解する力がどれほどあるのか?」という点だ。
その調査をした結果、「教科書に書いてある文章が理解できない」という子供たちが増えている、という「警告」がこの本の目的だろう。
実際、例題がいくつかあり、私も解いてみた。
文章そのものは難解なものではなく、むしろ平易で分かり易いと感じた。
「大人だから」とか「たくさん本や雑誌などの活字メディアに接してきたから」などの理由もあると思うのだが、それだけではないと感じている。
というのは、最近同世代でも「文章の内容を理解しているのだろうか?」と、疑問を感じる人と出会うことがあったからだ。

何故だろうか?と考えると、「文章を読んで、考え・想像をする」ということをされていないのでは?という気がしたのだ。
中学・高校生の頃、国語だけではなく英語の教師からも「1つの単語が分からなければ、前後の文を読んで、文全体の意味を理解しろ」と言われた。
当然、そのような本の読み方を何度もしてきたし、分からなければ、何度も何度も読み返して「何が分からないのか?」ということを、それなりに考えるような習慣づけをしてきた。
その結果として、「文章の理解力=読解力と推論力」が身に付いたのかもしれない。

そして新井さんが指摘しているのは、まさに「教科書が読めない子どもたち」というのは、このような「読解力と推論力」が低下している、ということのようなのだ。
このような力が低下すると、AIが得意とする分野「統計と確率」などで、ある程度できる仕事と重なってしまう、ということになるという。
その結果として言われることが「AIが仕事を奪う」ということに、繋がっていくのだ。

「人には人にしかできない仕事」というモノがあるはずだ。
それは、創造性の高い仕事であったり、予測ができない仕事などだろう。
とすれば、子どもたちがAIに負けないようにするためには、AIでは蓄積されないような経験、外遊びなどで得られる観察力や洞察力、芸術や様々な文化によって育てられる感性、何より「考える力」なのではないだろうか?