Huffpostを見てたら、掲げる理想は素晴らしいかもしれないが、現実は・・・という記事が、掲載されていた。
Huffpost:金融21社が共同署名、社会課題解決に「意図」を持って取り組む。男性ばかりの会見に「ジェンダー平等、タイムラグはあるが実現されていく」
この記事の見出しの通り、記者会見の為に集まった金融21社の面々は、全員男性だった。
この記者会見は、「社会課題を解決するための事業、企業に積極的に金融投資をする」という目的の為に、金融21社の役員が集まったものだった。
「社会的課題を解決するための事業、企業へ投資する」するファンドのことを、「インパクト投資ファンド」と呼ぶのは、数年前から聞いたことがあったのだが、「インパクト投資ファンド」という投資商品を自社で作り、投資募集をする日本の金融企業を聞いたことが無かった。
これまでの「企業経営の為の投資を目的」とせず、「貧困」や「環境」等野「社会的問題解決をする」という明確な投資目的を持った商品、という点が大きな違いだと言える。
もちろんその中には「ジェンダーギャップの解消」あるいは「女性の自立支援」等も含まれているのだが、写真を見ての通りひな壇にズラリと並んでいるのは、全員男性(役員)ばかりだ。
これは、日本の金融業に女性の役員がいない、ということを示しているだけではなく、ジェンダーギャップ121位という不名誉な現実をまざまざと見せつけているような気がする。
そこで出た言葉が「ジェンダー平等、タイムラグはあるが実現されていく」という、問題解決に導くとは思えない消極的な発言だったようだ。
共同で「インパクト投資ファンド」をつくっていく、という理想は十分わかるし、積極的に社会的問題解決を行っている企業に投資をしたい、という投資家も少なくない。
中長期的視点で上手に運用できれば、そのリターンも小さくないと言われている。
その視点で考えれば、「インパクト投資ファンド」をつくることは、未来への投資を金融企業としてアピールできる点でもある。
上述したように、「インパクト投資ファンド」の中には「女性の地位向上」という内容も含まれている。
現実は日本の働く女性の給与は、男性の7割と言われており、この傾向は男女雇用機会均等法が施行されても続いている、というのが現状だ。
それだけではなく、例えば「育休」に対して、「キャリアを外れる」という見方をされることも多いため、男性の育休取得が進まない、あるいは取得育休期間が短いというのが現状だろう。
しかし視点を変えれば「育児」という期間は、「子どもについて考える時間」であり「子どもを通して社会的問題を見つける機会」でもあるはずなのだ。
決してネガティブな「キャリアを外れる」という時間ではない。
にもかかわらず、「育休=キャリアを外れる」という(社会的)認識が強いのは、男性視点で考えているからだろう。
それを女性に当てはめて考えると、「育休」そのものが足かせとなる、ということに繋がっているのでは?
「女性を優遇せよ」というのではない。
「女性の視点が入ったインパクト投資ファンド」が、つくれるのか?という問いかけなのだ。
ただ現実として、まだまだ男性中心の企業風土を、この1枚の写真から感じてしまうのだ。
「隗より始めよ」という言葉があるように、この21の金融企業は「女性視点の問題解決」の投資をすることから始めて欲しい。