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歴史ある建物や街並みの売却先に、規制が必要なのでは?

2021-05-07 19:35:54 | アラカルト

朝日新聞のWebサイトに、「歴史ある建造物」についての記事があった。
朝日新聞:大阪の「太閤園」、跡地に創価学会が講堂建設へ

記事にある「太閤園」というのは、藤田観光の創業者藤田傳三郎男爵が明治43年に子息の為に建てた邸宅らしい。
第二次世界大戦などの戦火を潜り抜け、現在では広い邸宅をレストランや結婚式場などとして使っている。
もちろん、広大な日本庭園などは、レストランや結婚式場の利用者の散策路となっているようだ。
公式:太閤園

これだけの施設を維持することは、とても大変だと思う。
まして「コロナ禍」の中で、収益の中心となっているであろうレストランや結婚式場などは、集客が難しいという状況が続いてきたはずだ。
それでなくとも、「太閤園」を所有している藤田観光そのものも厳しい経営を迫られてきたはずだ。
だからこそ、売却ということになったのだと思う。
その売却先が、創価学会だった、ということなのだ。

来月末まで営業をする、ということなので今でもレストランや結婚式場となっている、邸宅は現存しているはずだが、記事の書き方が「跡地」ということになっている点が、引っかかる。
これらの建物や庭を取り壊し、更地にし「講堂」を建設する、ということのように読み取れるからだ。
古い仏閣や教会等はともかく、創価学会のような宗教法人が新しく建物を建てるとなると、その外観は全国統一された建物になる事が多い。
とすれば、「跡地に講堂建設」ということも、一旦更地にして新たに全国統一された「講堂」が建つ、と考えてしまうのだ。
これだけの素晴らしい庭園に趣のある建物を壊してしまうのは、「文化的損失」のような気がしてならないのだ。

何もこのような「歴史ある建物」の売却に絡むのは、「太閤園」だけの問題ではない。
先日も京都の不動産に国内外の富裕層が注目している、という記事があった。
京都新聞:国内外富裕層、京都の不動産に熱視線「割安」、コロナでも投資マネー流入

という記事があった。
「コロナ禍」だけではないが、富裕層を中心に「金余り」という現象が続いている、と言われている。
それが色濃く反映されているのが、「株価」ということになる。
これまでの様に、実体経済と株価が連動しなくなっている、という状況下の中で、京都(だけではないと思うのだが)の不動産投資に国内外の富裕層が目をつけている、ということの様なのだ。

とすると、投資した富裕層がどのような思いでその土地を買い、新たな資産を生み出すようにするのか?という点が、気になる。
何故なら、京都には京都らしい町並みがあり、その街並みそのものが「京都の文化」の一部であり、「京都の資産」でもあるからだ。
そのような場所で、投資目的で京都に似つかわしくない建物が建ったり、壊して更地にしたりすれば、「京都の文化」が失われることになる。
それはとりもなおさず「京都の資産を失う」ということにもなるのだ。

おそらく、今の日本の経済状況を考えると、京都だけの問題ではないような気がするのだ。
事実「太閤園」のような例もある。
これまで、「土地=資産価値」という発想はあっても、「建物や街並み=文化」という考えは無かったような気がする。
しかし、京町家にしても「太閤園」にしても、一度壊してしまえば再建築する事自体が難しい建物でもあるのだ。
単なる「中古住宅の売買ではない」場合、売買契約には「建物の価値とその建物を維持する」等の項目を入れる必要があるのではないだろうか?
一度失った「地域社会の文化」を取り戻すことは、できない。
だからこそ、失う前に「文化を守る」という発想が、土地や建物、街並みにも必要になってきているように思う。



 



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