日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

批判するのがメディアの仕事?

2012-01-06 12:36:08 | 徒然
実は、「お正月広告3」の予定だったのですが、チョッと気になるコトがあったので、そちらをエントリさせていただきます。
大晦日の夜、元オウム真理教幹部で全国に指名手配されていた平田信容疑者が、出頭・逮捕された。
そのことは、新聞やテレビの報道でよくご存知のコトだと思う。

この出頭・逮捕に至る経緯について、多くのメディアが平田容疑者が最初に出頭した警視庁の対応に対して、問題視する内容の記事を掲載している。
確かに、対応としてまずかったと思うのだが、メディアの言い分に違和感があるのは私だけだろうか?
というのも、警視庁の前に立ち平田容疑者が最初に出頭を申し出たであろう機動隊員は、オウム真理教の一連の事件に対してどれだけ詳しかったのか、疑問を感じるからだ。
もちろん、警察官として教育される中で「オウム真理教の一連の事件」というのは、とても重要な内容だと思うし、当然そのような教育はされていると思う。
思うのだが、教育として学んだこととオウム真理教の一連の事件をリアルタイムで知っているのとは、大きな違いがあるのではないだろうか?

別に機動隊員に知り合いがいるわけではないのだが、おそらく警視庁前に立っていた機動隊員は、まだ20代~30代前半だったのではないだろうか?
とすれば、17年前は小学生くらい。
国内外に衝撃を与えた「オウム真理教・地下鉄サリン事件」であっても、被害者の多くと同じ世代とはまったく違う記憶の仕方をしていると思う。

確かに名古屋の地下鉄駅構内にも、オウム真理教逃走犯として写真が貼ってあっても、その写真をしげしげと見つめ、記憶をしている人はどれだけいるのだろう?
事件があった頃から数年は、とても興味を持ってみていたはずの手配写真ですら、17年という月日は「まだ、犯人が捕まらないんだ・・・」という程度のものにしてしまっていたと思う。
実際、私が元旦にPCを立ち上げYahooのトッピックスに「平田容疑者出頭」という見出しを見た瞬間思い浮かんだ言葉は「平田ってどこの平田さん?まさか?オウム???」という程度だった。
おそらく多くの人も似たような反応だったのでは?
とすれば、一連の事件が起きた頃子どもだったはずの若い(であろう)機動隊員が、どれほどの現実感を持っていたのかは、疑問だと思う。

もう一つは、「冗談かと思った」という機動隊員の言葉だ。
もしかしたら、この対応した機動隊員は同様の経験を、何度もしているのかも知れない。
深夜、お遊び感覚で「出頭してきました」と、警視庁前に立つ機動隊員に話しかける輩が少なからずいるとしたら、それはそれで問題なのだと思うし、むしろそのようなコトを軽々しくする社会的感覚不全のようなことを指摘すべきなのでは?

そのような視点を抜いて、機動隊員の対応を批判するメディアというのは、一体なんだろう?
確かに、対応としてはまずかっただろう。
しかし、だからといってメディアがこぞって批判すべき内容だろうか?
一連の報道を見ていると、「(メディアは)批判するのが仕事」で終わっているような気がしてくる。



正月広告-2-

2012-01-04 12:29:01 | マーケティング
昨日に引き続き、元旦に掲載された新聞のお正月広告について。
今回は、パルコを取り上げてみたいと思う。
ここ数年・・・というよりも、10年以上「パルコ」らしいお正月広告を見ていなかったような気にさせたのが、今年のパルコのお正月広告だった。

「パルコ 広告」

何故、この広告を見たとき「パルコらしい」と感じたのか?といえば、若者や社会に対してやや挑発的な印象を持ったからだ。
ご存知のように、パルコは小売業の中でもやや特殊な形態を持っている。
パルコそのものは、テナントと呼ばれる小売業者に売り場を貸しているだけで、実際の小売に携わっているわけではない。
もちろん、売り場を貸すにあたってのアドバイスなどはしているとは思うが、テナントとして入っているお店が、それぞれの独自の商品ラインナップを考えた品揃えをし、販売をしている。
その意味では、「丸井」や渋谷の「109」と同じだといえる。
ただ、パルコが「丸井」や「109」と違うのは、「文化の発信」という側面を持っていたからだと感じている。

事実、パルコを展開していた「セゾングループ」は、「セゾン文化」と呼ばれるモノがあった。
その意味では小売をしていないのにもかかわらず、「販売」の中に「文化」的なモノを感じさせることができたのがパルコだったように思う。
言い換えれば、「パルコで買い物をする=チョッと先のファッションを手にする」というようなイメージがあったのが、パルコという場所だった。

だからこそ、パルコができた頃の広告はとても刺激的なモノが多かったし、パルコの広告をきっかけに世界に出て行ったアーティストも少なくない。
それだけパワフルな広告を展開していたパルコも、母体となる西武の様々な問題に引きずられ、社会変化に対応できなくなっていたように思う。
それが今回「LOVE-HUMAN」というテーマで、10代~20代の若年層を刺激するような広告文と写真を掲載している。
モデルとなっている人物は、マイケルジャクソンに憧れ、単身ニューヨークに渡り、マドンナのバッグダンサーとして活躍をしている、日本人男性。
マイケルジャクソンが亡くなった時、ワールドツアー中のマドンナが、マイケルに捧ぐパフォーマンスを一人託された人物でもある。
もちろん、マイケルジャクソン自身も生前に彼の存在を知っており、実現できなかったイギリスツアーでのダンスパフォーマンスのオファーを出していたと、言われている。

単身ニューヨークに行き、様々な苦労をしたであろう彼だが、ダンスパフォーマンスを見る限り、そのような印象は一切無い。
おそらくパルコが伝えたかったのは、そこなのでは無いだろうか?
「夢を夢で終わらせるな!夢を力に変え、現実のものとするために自分の殻を突き破れ!」そんな強いメッセージが、パルコ自体持っている閉塞感的な部分を打ち破りたい!というメッセージにも聞こえる。
それはパルコでけではなく、日本の社会全体を覆っている閉塞感を打ち破れ!といっているようにも思えるのだった。

正月広告‐1‐

2012-01-03 11:36:55 | マーケティング
暮に引いた風邪が、年明け後ひどくなり「寝正月」状態。
新年のご挨拶をいただいた方には、大変失礼をしました。

1月1日の新聞といえば、一年で一番厚い新聞なのではないだろうか?
大体4部くらいの構成となっていて、中には広告のみ?と思えるような紙面もある。
当然、そんな中様々な企業が「お正月広告」を打っている。
お正月広告、というのは単に企業からの新年の挨拶というだけではなく、その年の企業の目指すコトなどが表現されている場合が多い。
そんな広告を見ながらアレコレと考えるのもまた、お正月の楽しみとなっている。
そのため今回は、2,3回に分けて「お正月広告」について、エントリをしてみたい。

まず取り上げるのは「資生堂」。
「資生堂お正月広告」
確か昨年は、資生堂の商品を並べた広告だったように思う。
それが一転して、今年は蒼井優さんが登場。
とても透明感のある、若手実力派女優の一人なのではないだろうか。
その蒼井さんは、ほとんどスッピンのような感じ。
そこにつけられている文章は、明らかに昨年起きた「東日本大震災」の影響を感じる。

文章中にあるように、「お化粧」という行為は、チョッと特別な行為だ。
「女性であれば、毎日当たり前のようにするのが当然」と思っている方が、多いのかも知れないが、決してそうではない。
震災発生後、お化粧をすることも忘れた女性たちが、美容師さんの手で髪の毛カットされ、美容学校の学生さんたちがボランティアでメイクを施すことで、すっかり忘れていた「自分」を取り戻したという方は多かったと言われている。
「自分を取り戻す」というよりも、「前に進む自分を取り戻す」といったほうが良いのかも知れない。
言い換えれば、お化粧とは「自分にチョッと気合を入れる行為」だと言える。

もう一つは「女性としてのよりどころ」という点でも、重要な行為だと思う。
これは「阪神淡路大震災」のとき、田中康夫さんがボランティアで化粧品を持っていった時のコトだが、お化粧もせずに避難所生活をしていた女性たちが、お化粧をしたことで表情がパッと明るくなった、というコトがあった。
もちろん、「お化粧をする」という行為の中には肌を整え、表情を作るというモノがある。
しかし、その人自身の表情を作ることはできない。
それが「お化粧をする」という行為をきっかけに、その人らしい明るさを取り戻すきっかけとなるコトは十分ある。
実際、女性の認知患者さんの治療の一環で「化粧をする」コトが行われていると聞く。

「化粧」について十二分に知っているからこそ、資生堂は改めて「化粧」を取り上げたのだと思う。
新しい価値観、新しいライフスタイルが言われる中にあって、「女性がお化粧をすること」は、変わらないことだろうし、それによって資生堂は、社会に貢献していきたい、そんな思いが伝わる広告だった。

新年のご挨拶代わりに・・・

2012-01-01 06:00:00 | 徒然
今年の干支は「辰」。
というコトで、ご挨拶代わりに・・・

昨年暮れに、京都へ出かけた際におまいりをした下御霊神社の昇龍。

そしてもう一枚

こちらは建仁寺の有名な「雲龍図襖絵」
キャノンのデジタル映像化で、写真撮影ができるようになっている、数少ない写真撮影可の文化遺産。
日本のこのような技術は、世界でももっと注目されるべきと、実感して帰った次第。

いずれも、携帯電話のカメラでの撮影につきピンボケなのは、ご容赦ください。

下御霊神社の昇龍のように、経済も生活も明るく上昇する1年となりますことを願って。