一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

エイプリルフールのLPSA芝浦サロン・誘う男

2011-04-02 01:06:18 | LPSA芝浦サロン
きのう4月1日(金)のLPSAサロンは、船戸陽子女流二段の担当だった。船戸女流二段の前回の担当は3月11日だったが、その日は東日本大震災で、休止だった。となると、船戸女流二段に会うのは3月7日のジャンジャンマンデー以来となる。しかしこの日は会話らしい会話をしていない。ほかの会員はどうか知らぬが、ほぼ1ヶ月船戸女流二段に会っていない私は、「軽い禁断症状」を覚えていた。1日はホントに、船戸女流二段に会いたかった。
午後4時に仕事を終え、一目散に芝浦へ向かう。5時少し前に入室すると、薄暗い室内に大庭美夏女流1級の姿があった。しかし「こんにちはー」というその声は船戸女流二段だ。中を覗き込むと、その奥に彼女はいた。ああ…久しぶりだ…。会えて嬉しい。「お元気でしたか!?」と手を取りたいところだが、それをやると変質者になってしまうので、平静を装う。これがむずかしい。
「倉敷藤花戦、勝利おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「次は岩根っちとですね。勝てばシャンパンで」
私はアガリながらしゃべる。船戸女流二段は先日の倉敷藤花戦で中倉宏美女流二段戦に勝利し、マッカラン獲得へあと1勝としたのだった。賞品については先日、本人からシャンパンに変更してほしいとの希望があり、それをふまえての私の発言であった。
「私はル・クルーゼがいい」
と、これは大庭女流1級。女流王座戦での希望賞品のようだ。ル・クルーゼとは、いま話題の圧力釜であろう。しかしそれは生活用品じゃないか? などと反論できる雰囲気ではない。相手は船戸女流二段とタッグを組んでいるのだ。まあマッカランよりは安かろうと、これもOKにする。
それはともかく、この時点でほかに客はいなかった。LPSAが芝浦に移転してから、金曜日も客が減っているが、これはひどい。やはり大震災の余波だろうが、もう少し人が来てもよさそうなものである。
「ほかの曜日と変わんなくなっちゃったねー」
と大庭女流1級。
「またみんなで(駒込ジョナサンに)集まってるんじゃないの?」
と、船戸女流二段も疑いの目を向ける。
「バカな…船戸先生を置いてジョナサンに行く人はいませんよ。WさんもKunさんも、たまたま忙しかっただけですよ」
私は懸命に釈明したが、どうも信じてもらえないようだ。私は会員のメールアドレスも電話番号も、ほとんど知らない。先週25日の駒込ジョナサンも、誰とやりとりすることもなく、当ブログに来た「業務連絡」だけを頼りに、駒込ジョナサンに赴いただけのことだ。
船戸女流二段との指導対局は6時からとし、特別おかわり対局として、大庭女流1級に教えていただくことにした。チェスクロックを使い、持ち時間は15分、秒読みは30秒とした。どうも、大庭女流1級の女流王座戦を視野に入れた時間設定らしかった。
その序盤戦に、船戸女流二段が
「大沢さん、みんながどこかで集まってたらどうする?」
と、まだ疑いの言葉を口にする。
「ええ? いや仮にそうだとしても、船戸先生がいらっしゃるんだから、ほかには行きませんよ。そこにヤマグチエリコがいても行きませんよ」
「じゃあムロヤユキちゃんがいたらどうする?」
「ムロヤさんは関西でしょ? (東京に)来るわけありませんよ」
「……」
なんで室谷由紀女流初段の名前まで出てくるのだ。私がほかの女流棋士に目移りするわけないじゃないか。船戸女流二段はもっと、ファンランキング1位の自信を持ってもらいたい。
しかし船戸女流二段は会員の多寡を気にする。言うまでもないが私の周りの会員は大なり小なり船戸女流二段のファンであって、ここに来られないということは、仕事があるということなのだ。船戸女流二段の責任ではない。
石橋幸緒天河も顔を見せ、船戸女流二段に見守られながら大庭女流1級との将棋が終わり、次に船戸女流二段との指導対局女流二段入った。私は受付を背にして座る。当然ながらマンツーマンで、いやが応にも緊張する。
船戸女流二段はほとんどスッピンだが、きょうももちろん魅力的である。ピンクのワンピースにピンクのカーディガンと、相変わらずかわいく着こなしている。
中盤戦に入ったころ、うしろを振り向くと、大庭女流1級がいない。ま…また船戸女流二段とふたりきりか…!! ほのかな色気と香水の香り。うあああー、緊張する。もう、手を考えているどころではない。し…しかしこれは絶好のチャンスではなかろうか!? ほ、放課後に、食事に、誘っちゃおうか。も、もし断られても今日はエイプリルフールだ。このお誘いは冗談でした、で済む。
私はふらふらと指し手を進めるが、煩悩が渦巻いて形勢は悪化するばかり。そこへ新たなお客様が見え、それを待っていたかのように私は投了した。
私は船戸女流二段にもう1局教えてもらうことにして、とりあえず大庭女流1級との将棋を棋譜に起こしていると、もうひとりお客様が来た。これで私が入れば3面になり、とりあえずは形になる。
満を持して、2局目の開始。この将棋が熱戦だったのだが、私が終盤に悪手を指してしまい、戦意喪失で投了。しかしこれが早まった。後から来たほうのお客様の将棋がまだ続いていたからで、まさか船戸女流二段を食事に誘うため、居残るわけにはいかない。
「私、女流三段まであと30勝なんです」
と船戸女流二段。先の中倉女流二段との勝利で、女流三段への「マジック30」が点灯したという。「女流三段」はいままで考えもしなかったから、この数字は励みになる、というようなことを船戸女流二段は言った。何年先になるかは分からないが、そのときは盛大なお祝いをして差し上げようと思う。
しかし船戸女流二段とのおしゃべりもここまで。ほかに知り合いはいないし、サロンに残っている理由がない。なんだか消化不良のまま、私はサロンを後にした。
その帰り道、「小諸そば」を見かける。小諸そばとは東京を中心に展開する立ち食いそばのチェーン店で、更科の蕎麦が美味い。芝浦には新規の出店で、見ると3月30日に開店したばかりだった。
店頭の自動券売機を見ると、もりそばが230円、大盛りが+30円、二枚もりが特価290円と、驚くような安さだった。たしかほかの店では、大もりが300円だったはずだ。私は二枚もりのボタンを押す。しかし、ひとりで食す晩メシはさみしかった。
帰りの電車の中で、金曜日にこんなに早く帰るのは初めてだと改めて気づき、またさみしい気持ちになった。
コメント (5)
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