かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

エコノミック・ヒットマン

2010年11月11日 | Books



ちょっと前に本だが、知り合いに勧められ読んだ。
全てが全て、真実とは思わないけど、かなりは本当の話かなと思う。結構、怖い本だ。

著者は、アメリカのプロジェクトのコンサルタント会社のメンバーなのだが、その中で、EHM教育を受けたという。エコノミック・ヒット・マンだ。
資源のある国などに、乗り込んでいって、開発を持ちかけ、借入させ、米企業のプロジェクトを勧め、国が破たんしたところで、実質属国化する。植民地政策の現代版。
成長率を過大に評価し、過大投資をさせれば、このような結果を導くことは難しいことではない。

この世の中に今さらと思うが、現実を見ると結果はそうなっている。西欧化を受け入れて幸せになっている大国はあるか?亜細亜の虎と呼ばれたシンガポール・香港などの国々は、大国とは言えない。

EHM教育を受けて最初に著者が赴任したのは、インドネシア。1970年代、すでにアメリカへの憎悪に満ちていた。私が、シンガポールにいた時も、インドネシアを多く訪れたが、西欧文明を受け入れていなかったら、もっと幸せな国だったろうにと、強く感じていた。

その後、サウジアラビアに活躍の場を移すが、滅茶苦茶である。その成果で、中東で最大の親米国である今のサウジがある。今のサウジの中銀であるSAMAはの名は、当時サウジアラビアマネーロンダリングアフェアとしてのSAMAに使われていたという。ほとんど無法地帯。その放漫が、オサマを結果的には、育て、9.11につながっていく。

中南米でも同様のストーリーが繰り返される。EHMの手にかかったら、絶対国民は、幸せにはなれない。国のごく限られた層のみが恩恵を受け、後は、米企業が総取り。
EHMの罠に気付き、言うことを聞かなくなった国は、必ず粛清される。イラク、パナマ。見事にその通り。

著者は自分のことを奴隷商人とも言っている。著者は、この仕事から何度も抜けようとするが、また戻らされる。そして、今やっと足を洗って、この本を著わすことができたというわけだ。

ベネズエラのチャベスなどが、今、反米の急先鋒だが、本書の通りであれば、どうなることか。
資源を持つ開発途上国に、EHMの魔の手から逃れる手立てはあるのか?

欧米経済圏の一員の目で、国際情勢をどうしても見てしまうが、よーく公平に、見る習慣が必要なことを本書は教えてくれる。
国際政治に興味のある方に、お勧め出来る。

コメント
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