かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

国家の命運

2010年11月17日 | Books

hanadi法曹界のレベルの低い話が続いているが、今回は、ついに大臣。ビデオも放送されていたが、聴いている方もシーンとしている。あまりのレベルの低さに声もない。

appleアップルがビートルズの楽曲の配信を開始するという。ビートルズのCDなど持っている人も多いだろうし、今さらなのだが、やはり感慨深い。
アップルというのは、元々ビートルズが作った会社名。それを、アップル社は、堂々とパクッた。音楽業はやらないからということで、ビートルズは、それを許した。アップル社は、当時アップルコンピューターの会社だった。しかし、時代は流れ、アップル社は、アイポッドを大ヒットさせ、音楽配信も始めた。ビートルズは当然怒ったが、結局和解。そして、この日を迎えたのだ。
音楽界の雄と、コンピューター界の雄は、それぞれ絡み合いながら、発展を続けている。



元外務次官の薮中さんが本を出した。薮中さんとは、某大使館が主催する新年会で、お見かけしたことがある。温和で、優しそうな人だった。この本を読むとそういった人柄の良さと、外交官としての厳しさが共存している人であることがわかる。
最初の方は、やや総論的でどうかなと思ったけど、後半には各論も入ってきて、尖閣列島や、北方領土問題がクローズアップされる中、とても興味深い内容になっている。

日本の外交は、「NOと言えない日本」でもあり、「NOと言える日本」でもあるという。つまり、アメリカ待ちの姿勢ということだ。黒船以来の姿勢だ。「受け身の姿勢」、「言い訳の姿勢」、「小出しの姿勢」の三つのパターンが、日本の外交では用いられるという。

中国の外交姿勢には、あきれるやら頭にくるやらだが、薮中さんに言わせると、「動じない」、「言い訳をしない」、「相手を攻撃する」というパターンという。

日米経済交渉の時の話が出て来る。日本の交渉には、ロジックが不足しており、「ご理解いただきたい」と「これでは日米関係がもたない」の二つが、お決まりフレーズだったという。これでは、強い交渉などできるわけがない。
交渉で大事なのは、「できない」を繰り返すのではなく、「何ができるのか」を自ら示すことだという。つまり「Yes, we can」だ。ふむふむ。
交渉には、相手と信頼関係を結ぶことが大切だが、それには、①ウソをつかず、欺かない②絶対に必要なことと、融通の利くこととを分け、優先順位を相手にわかるように伝える③ダメなこと、デリバーできないことは、はっきり言うことがポイントだ。
そして、「51対49」で勝つことを狙う。
このあたりまでは、総論。外交だけではなく、いろんな交渉ごとに通じる話だ。

各論のトップはもちろん北朝鮮。北朝鮮は、手ごわい相手という。なぜなら、相手が交渉のペースを作るからだ。ひきこもり状態にある国だから、交渉をするもしないも向こうの思うまま。マスコミもなく、野党もなく、国民が飢えても関係ない。やりたい放題ができるのだ。
北朝鮮の交渉テクニックは、「過大な要求を掲げる」、「容易に手の内を示さず、相手からの要求にはNOを繰り返す」、「建前をひじょうに重視する」、「まとめる必要があると判断すると一気に態度を変える」。拉致被害者の奪還は、その成果?ではある。
逆に、とっとと帰ってしまったりする。米国がユニラテラル会合をしていると嘆いていたことがあるという。交渉相手がみんな帰ってしまい一人ぼっちになっていたのだ。ユニラテラルという言葉は、初めて聞いた。

尖閣近辺の交渉の経緯も書かれている。東シナ海のガス田交渉だ。一旦まとまったものの、福田首相が代わり、たなざらし。再度締結に向かいそうになったら、この騒ぎ。本書は尖閣問題が起こる前に書かれており、成果が上がることを期待した書き方になっている。尖閣の重要性についも、見事に書いてある。まさに正論であり、薮中さんがいたら、もう少しまともな対応になっていたのではないかとも思う。

そして最後に、亜細亜の中の日本について触れている。この前APECが開かれたばかり。何とタイミングのいいことか。
TPPが話題になったが、じゃぁ、農業をどうするんだというのが袋小路の議論だ。
薮中さんはこう考えている。①コメは守る②その他の農業品は、大幅に水際措置を撤廃する③その際、五年から十年間の経過措置も考慮する④農家には戸別所得補償をおこなう⑤交渉体制を見直し、こと交渉に関しては、鉱工業、農業、サービスなど部門別ではなく一人の責任閣僚がまとめて見るようにする。
外務省の人だったらこう簡単?に言えるけど。

今回APECでいろんな略語が飛び交ったが、APECは、Asia-Pacific Ecnomic Cooperation の略。アジア太平洋経済協力で、亜細亜太平洋地域の21の国と地域が加盟している。
よく出てきたTPPは、Trans-Pacific Economic Partnership Agreement の略。環太平洋経済パートナーシップの意味だ。
アセアン地域フォーラムはARF。ASEAN Regional Forum の略だ。今や亜細亜の時代。TPPを推進するというのが正しい方向だと思うのだが、どこまで今の政権が指導力を発揮できるか。

議論の場ではきちんと発言し、夜になれば冗談の一つも言い合う。そんな何でもないことが実は大切なのである。
薮中さんらしい締めくくりだ。


コメント
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