出身地でわかる中国人という本がある。結構前に読んだ。
シンガポールにいたからずいぶん中国出身の人とは縁があるのだが、中国本土に行くと、全然雰囲気が違う。チベットやウイグルは元々民族が違うのだからもちろんだが、いわゆる昔からの中華と言われる地域の人々でもずいぶん違う。特に北の方の人たちだ。シンガポールの人は、ほとんどが南の方から来た人たちである。
日本は、否が応でも中国とうまくやっていかざるをえないのだから、中国のことは勉強しておくにこした事はないだろう。
本書は、中国人という人種がいると思っている人たちには、是非一読をお勧めしたい本だ。一度で頭に入るわけはないが。
シンガポールには、福建省出身の人が多い。顔はのっぺりしていて団子っ鼻だ。だがリークアンユーみたいにするどい顔つきの人もいる。客家の人々だ。
”古くは中原にあって古代からの王朝の傭兵として活躍した。とくに閩西の山奥に逃れたのは、唐の時代だった。やがて宋王朝の滅亡とともにおびただしく長江を渡って南下し、一部は海を渡って、海外へ逃げた。
海外組は、フィリピンのアキノ、コハンコ一族、タイの物流を牛耳る商売人、インドネシアの金融を抑えた林グループ、シンガポールの華僑となった。”
いかに客家人の能力がすぐれ、東南アジアの経済を牛耳ってきたがよくわかる説明だ。華僑が東南アジアの経済を押さえているといわれるが、その中でも、客家人の力が一番だ。
香港には、広東人が多いのだが、日本人から見ると見かけは、福建人と似ている。でも全く違うという。
まず言葉が全く違う。ほとんど外国語だ。広東人に客家が多いと思われがちだが、客家が一番多いは福建だ。香港財閥の王者リカシンは、潮州出身だが、潮州は、言語的には、福建に近いという。
奥深い。
中国は、現在の木中国共産党が支配している地域を中国というのであって、実は、とてつもない多民族国家だということを忘れてはいけない。中国人という概念は、元々はないのだ。あえて言えば漢人ということになろうが。