かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

60年代のリアル

2012年03月07日 | Books


本書は、新聞広告を見て、GET。

内容は、イメージしていたものと違ったが、面白かった。
題名から、60年代のリアルな姿を描き出すという意味かと思ったが、60年代は、いろんなものがよりリアルだったことを、学生運動を中心に分析したものだった。

驚くのが、著者が、まだ学生(今は、院生)ということだ。今の学生にとっての60年代というと、我々が学生だったころに、昭和10年代を描くような話だから、もう相当昔のはずだが、さまざまな資料を通して、当時の匂いを、甦らせている。

我々世代は、学生運動が終わった直後で、シラケ世代(ノンャ梶jと言われていた。学生運動自体に対する共感はあまりなく、でも、何かをやるべきなんだろうなとは、漠然と感じていた。でもやっぱり、ゴールが何なのかはわからなかった。

当時、学生運動に熱中していた世代は、本当に、この運動で、世界が変わると思っていたのか?
どうも違うのではというのが著者の分析。
皆で結束し、熱くなることによって、生きている実感を味わおうとしていたのではないか?
学生運動をする側も、それを阻止する側も、暗黙のルールの下で、戦って?いた。
リアルを求めて。

本当の革命に走るのであれば、殺傷できる道具を持つテロに走りそうなものだが、日本赤軍が過激化し、浅間山荘事件を起こすにいたり、学生運動は、逆に完全に収束した。

三島由紀夫が新宿争乱を見学に行って、拍子抜けしたとどこかで読んだ記憶があるが、その本質を見破ったのだろう。三島由紀夫は、もっと本当のリアルを期待していた。そして、究極のリアルで、自決した。

以降、生活から、リアル感が失われて久しいが、近時の、ネット社会の中で、つぶやきやら、ざわめきやらが、共有化され、リアルな動きになる予感がある。

60年代のカルチャーに興味を持ってGETした私にとっては、ちょっと期待と違ったが、この60年代の研究を通して、近未来の方向感が見えてくる?
我々の世代は、狭間世代で、中途半端なんだけど。

著者が、60年代の音楽に、フォークやロックではなく、ジャズをあげているが、日本は、まだそうだったのかな?
ちょっとその辺にも、触れて欲しかった気もする。
実は、その辺をテーマにした本を、現在読んでいるところ。
コメント
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