
本書の存在は、前から知っていたが、ゲテモノ感いっぱいなので、無視していた。
ところが、今度は、何故か平積みになっていて、思わずGET。
ゲテモノ感はあるものの、インドファン、アンチインドファンに、流し読みしてもらいたい本ではあると思った。読んだ人は、思わず吹き出してしまうだろう。
でも、これは、たぶん、すべて真実=ノンフィクションだ。
著者のさくらさんは、まだ相当お若いのだが、突如インドに行くことになったらしい。
そして、そこでの経験は、完璧に近く、私の経験に近い。
違うのは、それを、ゲテモノ風に表現するか、そこはぐっと飲み込んで、とにかくたいへんなところだと、お茶をにごすかの違いだろう。
私の場合、移動手段と宿は決めてから行くので、トラベルエージェンシーに何度も連れていかれるという経験はないが、その他の経験はほとんど重なる。ということは、インドに行かれる方は、本書に書かれている事象は、よっぽどの高級ツアーではない限り、かなりの確率で、経験すると言っていいだろう。行ったことのない人には、信じられないだろうけど。
一つ発見だったのは、ベナラシでの、大沢たかおボーイの存在だ。先般紹介した大沢たかおさん主演の深夜特急という不思議なドラマに出演した少年が、出演料として8000ルピーもらい土産屋の店長になったらしく、それにあやかってか、大沢たかおボーイが増殖しているのだという。確かに、あのドラマ?は、強烈だった。でも、大沢ボーイ?
さくらさんが行ったのが、2006年頃。そして、本書の改訂版が出る前に再訪したのが、2009年頃。私が、インドに行っていた頃と重なるのだが、その後のデリーに変貌は、流石のさくらさんの想像力をもってしても、予想をはるかに上回ったものになっていると思う。
まず、ノラ牛、ノラ山羊が、随分減った。物乞いも減った。難民キャンプ的な地区も減った。
単に、首都から追い出しただけかもしれないけど。
デリー・ベナラシ間の列車での移動は、私も経験したが、意外とさっぱりした記載になっている。あの環境で、ぐっすり寝られたのか?私の経験からは、もっといろいろな経験をされたと思うだが。
書いたか忘れたが、いつ来るかわからない列車、指定された座席が発表になる時に群がる人々、待ちくたびれて、線路の向こうの原っばに用を足しに行く人々(駅にトイレがない!)、寝台車にもかかわらず、乗ったり降りたりする人々、そのたびに現れる車掌、あの二等普通車への席確保のための乱闘(人のためではなく物のため)や、慟哭する若者(陳腐な恋愛ドラマでもあのような光景は見られない)、とてもこの世のものとは思えなかった。
デリー中心部以外では、この本に記載されていることが、今もなお、そのまま起こると思っていた方が、たぶん正しい(ツアーで行く場合は、いいけどね)。
でも、やっぱりまた行ってみたいんだよね。