

これで犯罪にならないのであれば、金融犯の大半は、釈放しなければならないのでは。だました相手が、欲に目の眩んだ投資家ではないところが、また救いようがない。あまりにも素人だったらしいけど。
AIJ事件がきっかけではないのだが、たまたま”白昼の死角”を読了した。

本書は、元々50年以上前の1960年に出た本だ。
何故、そんな古い本をというと、実は、本書は、私の人生に大きな影響を与えた本なのだ。
ではなぜ今なのかというと、本書を映画化した角川映画(1979年)がDVD化されGETしたら、もう一度33年振りに(たぶん)読みたくなったのだ(DVDはまだ見ていない)。
何故、33年前とわかるかというと、映画になったのが、1979年、ゼミを決めたのが、その寸前。そして、本書が、ゼミを決めたきっかけになったのは間違いないからだ。
久し振りに本書を手にし、その分厚さに驚いたが、面白さであっという間に読めた。不思議なもので、そのトリック(手形詐欺を繰り返す犯罪者を主人公にした小説だ)も、よく覚えている。
改めて読むと、戦後のどさくさの雰囲気、経済の浮き沈みの様子がよく描かれている。実際の光クラブの事件をモデルにした事件を前座の事件にし、高利貸しで長者番付に名を連ねた森脇将光を登場させ、実在したかわからないが、実在した人物から聞いた話として、この大作は描かれている。高木彬光氏を代表する犯罪小説といっていいだろう。実際に本書のモデルになった事件は存在したらしい。
33年振りに、本書を読んで、二つ、新たな発見(もしくは思い出したこと)があった。
一つ目は、主人公が、最後結核を病むこと。ゼミの先生も、若かりし頃、結核で、休学したという話を、入ゼミ後に聞いた。
二つ目は、裁判中に海外に逃亡した主人公が、著者に送った最後の手紙の日付が、何と私の誕生日になっていること。これは奇跡。
法律と、サスペンスに興味のある方に、絶対お勧めできる。
人生を変えるかも?
私の人生は、変わった。本書で、変わったのではなく、本書をきっかけに某ゼミに入ったことが理由だけど。