
本書は、岩波新書の最新刊。
よく取り上げられるテーマなので、どうかと思ったが、新たな切り口も加えて、よりリアルに、日本がいかに隋唐の最新システムを、日本流にアレンジしながら、導入し、早く近代化(当時としては)を推し進めて来たかが、わかる。
隋唐文明の導入と言っても、日本と中国には、海があり、韓国があり、その障害を乗り越えたのが、遣隋使、遣唐使だったのは、誰もが知っている。
彼らによりもたらされた統治システム、町づくりの方法、仏教などは、世界最先端ものであった。これは、唐が大帝国だった時代であったことが大きい。
ただ、一方で、タイミングによっては、やや時代遅れのものも含まれていた。面の交易ではなく、断続的な線の交易だったからだ。
それにしても、当時の遣隋使、遣唐使の人々のレベルの高さは、驚嘆に値する。
真っ白な状態で渡り、彼らの助けを借りながらも、かなりレベルの高い、広範囲のシステムを、遠く離れた日本に作り上げてしまったのだから。
一方、当時の日本に既に、独自の文化、システムがあり、そこにどうなじませていくかも難題だったが、軋轢を産みながらも、平安時代にかけて、今の日本につながる基礎が作られた。
完全に、中国化した訳でもなく、結果的には、絶妙な距離感になった。
私が、訪れた展覧会に、筆者も多く訪れているが、いかに、私が、表層的な見方をしているかがわかった。見るべき人が、見ると、展覧会から得られるものも違う。
かと言って、隅から隅まで、見れる訳でもないのだが、引き続き研鑽を積みたい。
今日など、絶好の展覧会日和なのだが、全部クローズ(泣)。