かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

ゴータマ・ブッダ

2011年09月20日 | Books


本書は、12年前に出た本。学者である、羽矢さんが書かれた。
大学時代から、インドの研究をされていた方だから、内容もしっかりしている。
書かれた当時は、羽矢さんは、まだ40代だったことになる。

しかし、言葉の意味はわかっても、その文章が意味するところが、わかったようで、わからない部分がある。
仏教の解釈というか、解釈した内容の表現方法が独特のように思う。

例えば、”問題は、みずから磨きあげた壁によって、自己と自己以外のものとのつながりが断たれると同時に、自己の存在の根拠も見失われてしまうところにあります。”

わかったようで、わからない。

”世界から分離され孤立した自己をつくってしまうのはしかたないが、それは転換できるというのが、ゴータマ・ブッダの根本的な考え方です。”

ふーむ。

実は、これらの件は、線が引いてあった部分。古本をGETしたため、前読んだ人が引っかかったところに、線が引いてあった。その他にも、たくさん線が引いてあり、似たように、言葉としては、わかるのだけど、意味としての理解が難しい部分だ。
現代文の読解問題に出たら、答えるのに、窮しそうだ。

たぶん、すべてのものは、相互依存しているからこを存在し、すべてのものは、相互依存しているからこそ消滅するということを言っているのだと思うのだけど。

もうちょっと頁を割くか、逆にさらっと流して、仏教についての考察は、別の機会に譲ってもよかったかもしれない。

ブッダの生涯についての記述部分は、極めてオーソドックスなのだけど、仏陀の教えの部分についての表現が独特なので、ちょっと専門家向け?
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釈迦

2011年09月19日 | Books
sun今日も、日中は、いい天気だった。ちょっと打ち放しに行ったくらいで(我ながら、全く効果がない)、家で、たまったものの整理などをしていたのだが、一向にはかどらない。物の量と、収納スペースとのバランスに、根本的な問題を抱えている。



瀬戸内寂聴さんが、”釈迦”という、大胆な題の小説を著わしている。
波乱万丈の生き方をされている瀬戸内さん。
小説家であり、尼僧でもあられる瀬戸内さん。
読んでみて、瀬戸内さんだからこそ書けた小説かなという気がした。
平成14年が、初版のようだから、その時すでに80歳近かったということか。

冒頭の部分は、いきなり官能小説かと思われる行があったが、読み進むと、極めてまともで、流石、仏の道を極めた人だからこそ書ける、仏典に比較的忠実でありながら、まるで見てきたかのような自然なタッチの小説だった。

入滅を前にした釈迦様と、最後の従者となったアーナンダとの会話を中心に、流れるように物語は進むが、お釈迦様の生きざまを自然に振りかえることにより、読み終わると、お釈迦様の生涯と教えを、感じとることができる。

お釈迦様関連の本で、読みやすさでは、ベストかな?

装画もきれいだが、平松礼二さんの作という。
文庫化された時に、横尾さんが、気合の入った一文を寄せている。
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空海と密教美術展

2011年09月18日 | Culture・Arts


今日は、絶好のゴルフ日和。でも、天気とは、あまり関係のない、空海と密教美術展に行ってきた。連休中日ということもあってか、すごい行列だった。東京以外から見に来た人も多いだろう。

内容については、いろいろ報道されているから、ご存知の方も多いかろうと思うが、実際見ると、それは、期待以上のものだった。
空海のスーパーマン振りと、密教を日本に伝えることへの情熱が、ひしひしと伝わってくる。
今回の展示では、空海がいかに密教を学び、それをどう日本に招来し、それを、いかに一般の人にわかるように噛み砕いて、布教に努めたかが、空海が実際に触れたであろう法具や、数々の書物を通しながら、具体的に理解できるようになっている。

仏像も、空海入滅後に作られたものもあるが、空海が中国より、持ち帰った図面に基づき、忠実に作られていることがわかる。

密教については、いろいろ知恵もついてきて、日本に伝えられたものは、空海が中国にいた瞬間のもので、その後、大陸では、大きな発展というか変化が起こったことがわかっている。
空海が日本に伝えた密教は、日本で、独自の進化を遂げたわけだが、その発展に空海が果たした役割は、極めて大きい。空海密教と名付けてもいいほどの影響度合いだ。

展示されている仏像も、個性豊かなものが多く、通常は、薄暗いお寺の奥に、おわすものであるから、このように、明るい場所で、360度の角度から見れる機会も貴重。

仏教、密教に興味のある人、空海に興味のある人、仏像に興味のある人、アジアの文化に興味のある人、幅広い人にお勧めできる、すばらしい展覧会だと思う。



お土産コーナーに、素晴らしい仏像フィギュアがあったが、ぐっとこらえて、通常のミュージーアムショップに行ったら、摩耶夫人像をモチーフにしたベルがあったので、GET。
元は、法隆寺宝物で、7世紀の飛鳥時代に作られたものだ。
右脇から生まれるお釈迦様まで、精巧に作られている。
まさに、本仏像を所蔵しているトーハクならではのグッズと言えるのではないか。
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法隆寺金堂壁画

2011年09月17日 | Books
cloudrainsun今日は、神奈川県西部でゴルフだったが、たいへんな天気だった。朝出た時は、晴れてたんだけど、ついたら霧、霧も薄れてきたのでスタートしたら雨。こりゃたいへんだと思っていたら晴れ。ラッキーと思っていたら、にわかに雲に囲まれ、土砂降り。こんなことを繰り返している内に、本当の土砂降りになったので、残り2ホールで止めたら、晴れ。
こんな天気だったから、すいてたけど、どうせやるなら、やっぱり天気はいい方がいい。



本書は(といっても書というよりは、豪華写真集だが)、出版されたのは、知っていたが、あまりの高さにおののいて、買わないでいたら、NHKの番組で、本書の製作過程が紹介され、その文化的な意義の高さに、感銘を受け、思わずGETした。
同時に、写真が7枚だけ入った、より貴重版もでているが、それは流石に諦めた。本書でも十分豪華だが、こちらの方は、たぶん一枚一枚額に入れても、いいぐらいのものだろう(実際見てないからわからないが)。

法隆寺金堂の壁画と言えば、阿弥陀三尊像の脇侍菩薩(観音)が、もっとも有名だが、壁画全てをこんな感じで見たのは、初めてだ。感じたのは、形式にこだわっている絵が結構多かったんだなということだ。だから、画家の高い技量はもちろん前提になるのだが、それを上回る、お手本、ないしはこう書かなくてはいけないという強い決まりか何かがあったのだろうと思わせる。

無理もない。仏教が伝わってまだ間もなく、それも、遠いインドから、中国(場合によっては、韓国)を経て、細々と伝わって来たのだから、かなり決まった何かがなければ、ぐちゃぐちゃになってしまっただろう。
20ある飛天図などは、ほとんどコピーしたのではないかと思うぐらい似ているし、4面ある三尊像も、構図や表情が似ている。

構図が似ているといえば、敦煌石窟のものと構図はそっくりなのだが、菩薩の顔だけいえば、アジャンターのものの方に、より似ているようにも思える。
敦煌のものは、中国風になっているのに比し、法隆寺のものの方が、インドの仏教美術の最盛期であるグプタ王朝時代のものに似ているようにも見えるのだ。

解説も充実しているが、このインド臭さの謎解きに挑戦している論文が興味深い。タイミング的には、玄奘三蔵ら(その後にもインドに渡った僧がいたそうだ)がインドから持ち帰ったものを、遣唐使または、新羅経由で、超スピードで日本に持ち込んだことになるようだ。白鳳時代は、インド風が流行り?だったという。その前の飛鳥仏は、それに対し、中国風。
敦煌のものは、そこから中国風な味付けが加わったということか。逆に、インド直輸入の作風が流行する前のものということか。本論文には、敦煌の壁画については、触れられていない。

戦後、文化財が焼失したといえば、法隆寺金堂壁画と、金閣寺が思い出されるが、法隆寺の方は、戦前に撮影された、原寸大分割白黒写真と、フィルターを通した4色分解写真と、赤外線写真が残された。その原版から、原版に忠実に、このようなしっかりした本が著わされたのは、不幸中の幸いだ。
ただ、やっぱりせめて、この1/3ぐらいの値段で出して欲しかったかな。


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遺跡にみる仏陀の生涯

2011年09月16日 | Books


本書には、正直驚かされた。AMAZONで、タイトルだけ見て買ったのだが、内容の充実度は、一番かもしれない。
出たのは、1980年。今から30年以上前。
ただ、インドの進歩は牛歩(象歩?)だから、違和感なく読める(為替レートや、ホテル、レストラン情報は流石に使えないが)。

著者が。1970年代に、インドの仏跡を巡った旅の情報だが、お父様がお坊さんだったことが、一番のきっかけだったらしい。そうでもなければ、当時、インドの仏跡を巡る人なと、本当に珍しかったろう。ましてや、こんな立派な本にまとめる人など。
本人は、某大手新聞社のカメラマンだったそうだ。上司が理解のある人だったという。

そのおかげで、写真が満載。仏跡巡りの本で、これだけ、写真が豊富な本は見たことがない。白黒が、ほとんどで、鮮明ではないが、雰囲気は、十分わかる。
もちろん当時と様子は変わっているが、わかりやすい地図もついており、今でも十分使える。
今は、結構整備された仏跡の、昔の素朴な様子がわかって、興味深い。

著者は、保土ヶ谷区在住ということで、私と同じ市民だが、まだ元気でおられるだろうか。
もし元気でおられれば、本書のアップデート版でも発刊されたらと思うのだけど。
著者は、サンカーシャには行けてないそうで、その辺の情報も加えることが可能だろう。

本書で発見したことも多々ある。

例えば、ブッダガヤ。
あの仏陀が悟ったとされる金剛宝座は、以前は、寺院の中にあったそうだ。また、寺院のご本尊の仏像は、ヒンドゥ教徒のマハンタさんが所蔵していたものを、本尊に据えたものなのだそうだ。もちろん、それでありがたみが減少する訳ではないが。

それにしても、AMAZONの古本は使える。送料が若干かかるが、定価の8-9割引きだったら、どう考えてもお得だ。
もちろん、本書のような本だと、新刊は、元々入手できない。


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