島崎今日子 「森瑤子の帽子」読了。
作家・森瑤子に近い家族・友人・知人に取材して
彼女の人生を丁寧に描いた作品だった。
20歳前後のころに 森瑤子のエッセイと出逢い
以来、彼女の大ファンとなった。
小説は いつも男女の恋愛や不倫などで
あまり面白くなかったんだけど
私生活を描いたエッセイは
都会的で優雅・ゴージャスな生き方に輝いていて
若いころの私の憧れそのものだった。
あんなひとになりたい、あんな生き方をしたい、
森瑤子に心酔した。
写真を見ても そんな美人でなく
どちらかといえば不美人の部類。
38歳の普通の主婦・伊藤雅代がいきなり文壇にデビューして
圧倒的ゴージャスな「森瑤子」になっていく様子が
この本のなかで展開されている。
あの頃、倦怠感を持て余している
日本の主婦が もしかしたら私だって。。。と
期待を持ち、憧れたと思う。
まるで そのころの日本のバブルが
限界まで膨らんでいって
ある日突然はじけるように
52歳の若さで 胃がんで亡くなられた。
今年、私も52歳の誕生日を迎えるので
いろんな感情が湧いてくる。
作家であり続けるには
これほど身と心を削り取らなきゃいけないか。
普通に安穏と暮らしているものには
小説なんて書けないな。
読んでるうちに 狂乱した時代を思い出し
とても懐かしかった。
私が最も影響を受けた作家じゃないかな。
作品じゃなく 生き方に。