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プロヴィンチャとしての誇り5

2015-01-09 00:01:33 | サッカー(Jリーグ(J1・J2)・国内)

 事例紹介コラムです。
 Number Webで「初めて明かす甲府での3年間の秘話。城福浩が語るプロヴィンチャの苦悩」というタイトルで、J1甲府の城福前監督のインタビューコラムが出ました。小規模な地方都市にある市民クラブでは、エレベーター化や即J2降格となるクラブが多い中、J1に残留し続けている甲府さんは城福監督の力量の部分も大きかったと思います。当ブログでも「親企業のある市民クラブ」「親企業の無い企業チーム」という表現をよくしますが、甲府さんは正真正銘の「親企業の無い市民クラブ」だと思います。まさに地方クラブのお手本だと思います。くれぐれも、スポンサーにしか目を向けようとしない「親企業の無い企業チーム」になってはいけませんね。地域とともにある「宝」であるべきなので。そんな部分がよく出ているコラムでした。以下、抜粋して紹介。
   
【予算が少なく、決まった練習場がない「プロヴィンチャ」のクラブ】
 J1甲府にはクラブハウスや決まった練習場がなく、大変だった。例えば、スパイクもウェアにしても、プロの場合は練習場に7、8セット分くらい用意する必要があり、決まった練習場がないという事は、それらの用具を毎回、全員で分担しながら運ぶ事。'12年は8カ所の練習場を点々とし、そのうちの4カ所は自分たちでゴールにネットを張るのは当たり前で、練習の前に白線を引き、グラウンドが固すぎて紅白戦がやれないようなケースもたびたび発生。
 予算が少ないために、早くJ1昇格を決めても有利になる訳ではなく、11月半ばに、どこよりも先に選手に声をかけても、12月末までずっと待たされる形になる。意中の選手とようやく話がまとまっても、他のクラブに奪われてしまうことも日常茶飯事で。毎年、非常に悔しい思いだった。
【攻撃的なサッカーを求めたファンに対して、結果にこだわった城福監督】
 Jクラブの監督は、良質なエンターテイメントを提供し、サッカーに対する関心を高めるという使命も担っており、城福監督の3年間はJ1甲府の観客数は確実に増加。チームが勝利することこそが、スポーツにおける真のエンターテイメントであると考えており、90分間、チームの勝利のために汗をかける集団だったかどうかが全ての基準。15,000人の専スタがあり、試合の結果に関わらず毎回、満杯になるのであれば、どんなサッカーをやってもいいと思いうが、でも実際には専用練習場すらまだない。従って理想を追い求めるのではなく、結果を出し続けることで基盤となるものを一つずつ積み重ねていき、J1定着が理想に近づく唯一の道と確信。
 好きなサッカーをするだけならアマチュアでいい。エキサイティングな攻撃的サッカーを信条とし、多くのゴールシーンを演出したとしても、10連敗などという事態を招くことはプロの指導者としては許されない事。
【地方クラブのあり方】
 「一つの産業としてのサッカーが、いかに未熟であるかを思い知らされた」と山梨の人たちへのメッセージを発信。自分はこんな大変なところでやっているという愚痴ではなくて、このクラブに何が必要かということを一緒に考えて欲しいという事。地域あってのクラブチームですから、本来であれば地元のクラブがサッカー界全体を動かすようになっていかなければならない。しかしドイツやスペインと違って、日本の場合はまだまだ中央の組織や大きなクラブが主役。
 地方クラブが主役になるのは、まずはクラブを通じて、いかに地元にサッカーを定着させていくか。普及活動やボランティア活動による地域貢献など、クラブからメッセージを発信していく事はもとより、サッカーだけではなくスポーツ全般、さらには文化や教育面でも、地域の発展の一翼を担う存在になっていかなければいけない。と同時に、他の方面からの協力も不可欠。例えば、地元放送局でリーグ戦の試合が放映されるために、放送権料の軽減を図っていくなど、日本協会やJリーグも含めて、本当に地方でサッカーを見てもらえるような仕組み作りも、もう一度考えてもらいたい。
 各クラブが地元でしっかり足元を固め、社会のさまざまな面で多くの機会を創出して注目を集め続ける存在となり、その地力や人気を全国に発信できるようにしていく。そのためにもチームは、Jリーグで常に注目を浴びるような位置にいる必要がある。
【J1甲府の力】
 低予算でJ1残留を果たし、前年よりも上の順位で残ったので、普通ならば万々歳になるが、組織としてやらなければならないことがあるにもかかわらず、組織の実力を超える結果が出てしまったのではないか。経営環境面ではまだまだ未熟。最低でも専用のクラブハウスや練習場は絶対に必要であり、課題は山積み。にもかかわらず、甲府市民や山梨県民が昨シーズンの成績を観て、クラブハウスや専用の練習場がなくとも、やれるのではないかと思わせた面があり、クラブの環境を整備していくことを考えた場合に、全ての事柄を含めて自分は本当に役に立てたのだろうかと疑問。
 自分達のような地方クラブが、自力のみでクラブハウスと練習場を作るのは相当に困難。J1鳥栖やJ2岡山のように行政がインフラを作った上で、クラブに専用で使わせますと宣言してくれることは、一つの道筋になると思われる。
【人口が減る山梨県で、週末に1万人集まるということ】
 何年かけても、クラブが資金力を蓄えるのは困難。実際、僕は3年の監督時代に活動予算は減少。J1に昇格してもJ1残留を果たしても予算は縮小。状況を変えるためには、地域の継続的な支援をキープしつつ、今後は更に新たなパートナーを獲得していくことも必要。いわば幅広く支援の輪を広げた、新生と共生という要素が必要不可欠。
 山梨県は毎年人口が5千人ずつ減少しているが、昨シーズンは1万人以上動員した試合がいくつもある。県全体に停滞感が漂っている中で、週末に1万人以上集まるイベントがあるという事は地域経済にとって、ものすごく大きなポテンシャルを秘めていると言える。だからこそJ1甲府は、1万人動員できる特別な場所であり続けなければならない。もっと行政や政界を巻き込んでいけば、サッカーが引き金となって、高齢化が進む地方を活性化していくモデルケースになる可能性は十分にあると言える。
 サッカーというのは、レアルやバイエルンのようにお金にも施設にも恵まれたビッグクラブだけの世界ではなく、プロヴィンチャの監督を当事者として経験できたのは大きく、本当に宝物になったと締めくくっています。

 城福監督、なかなかいいお話でした。この中で2つの話に注目しました。一つ目はクラブを通して、いかに地元にサッカーを定着させていくかという話。「普及活動やボランティア活動による地域貢献などで、サッカーだけではなくスポーツ全般、さらには文化や教育面でも、地域の発展の一翼を担う存在になっていかなければいけない」とあります。これは当ブログで言う地元Jクラブによる「スポーツ文化」の普及であり、Jリーグ百年構想の理想的な姿ですね。選手による地域貢献活動を行う事は当たり前の事と言っているように思います。それらが全くできないところは、やはり格好だけで地域の主役(宝)にはなれないという事なのか。
 2つ目はインフラなどの環境面。政田があるJ2岡山は恵まれているという事がよくわかりました。岡山では「行政がインフラを作った上で、クラブに専用で使わせますと宣言してくれている」事になるのですね。そういう面でも恵まれたクラブという事なるのかな。
 当ブログでは甲府さんは好きなクラブの一つです。プロヴィンチャとしての姿もそうですが、一度は破綻しかけて見事に地域の支援を受けて不死鳥のようによみがえった姿も眩しいです。また、海野会長も尊敬するクラブトップ(眞壁会長ら)のうちの一人です。個人的には、そういう正しい価値観を持った代表の存在が眩しいですね。2015年シーズンも頑張って下さい。
Number Web該当ページ:http://number.bunshun.jp/articles/-/822328
J1甲府関連⑳:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20140331
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