事例紹介コラムです。現在、山陽新聞朝刊に、もう何か月も続くシリーズもので「地域戦略を探る スポーツ新考」がありますが、ずっと読んでいます。最初の頃はファジやベル、シーガルズの紹介でしたが、そのうち長く岡山マラソンの特集、そして広く様々なスポーツが取り上げられました。そして最近は、当ブログでも以前に何度も紹介したきよねSC(きよね夢てらす)が登場しています。これも流そう。少し紹介してみます。
高梁川の河川敷の芝グラウンドは約3万㎡で、サッカーコート3面分に相当。総社市清音地区(旧清音村)の総合型地域スポーツクラブ(SC)「きよねスポーツクラブ」の活動拠点の一つで住民主導で運営するクラブのシンボル。元々は旧清音村が管理していたが、豪雨で水かさが増すたびに表土が流され、手入れが必要であったことが課題。
天然芝は住民有志が音頭を取り、’00年から3年がかりで手張り。作業には延べ1,700人が参加し、シート状の天然芝を設営。現在は、様々なスポーツの練習場として使用。業者に任せた方が安いが、自分達で作ったグラウンドだからこそ、より愛着を感じる事が大事と、住民組織のコメント。きよねSCの年間運営費1,600万円のうち、7割は自分達で工面。行政の補助が3割で済むのは、住民の支援があるから。
クラブハウス「きよね夢テラス」の管理は週末の2日間、住民有志37人が交代で実施。マネジメント会員で、年間1万円の会費を自ら負担して、この仕事を担当。報酬はクラブハウスの入り口に掲示される名札のみ。それでも「自分達のクラブハウスだから、自分達で守らないといけない」という意識が強い。岡山県内SCで唯一のクラブハウスの構造も、自分達で決定。全ての部屋に目が届くように、建物全体を八角形とし、部屋の仕切りをガラス製に。子ども達が部屋に閉じこもらずに交流して欲しいと、中央にはホールを設置。駐車場は300人のボランティアで煉瓦を敷き詰め、石積みの花壇も芝生の庭も、窓のカーテンも手作りし、建物名も自分達で命名。
「清音には住民のマンパワーがある。その熱意がクラブ経営の原動力になり、地域を元気にするというスポーツが持つ潜在的な力を引き出している」と元Jリーグ理事で広島経済大の藤口教授のコメント。
Jリーグが清音に注目する理由は、芝生の広場を作る事、好きなスポーツを楽しめるクラブを充実させる事、スポーツを通して世代を超えた輪を広げる事。で、Jリーグ百年構想に合致。「清音村の皆さん、緑の芝生はみんなの憩いの場所」と書かれた川淵元チェアマンの色紙が掲示されていると締めくくっています。
そして、今度は「目指せ 清音のコモンズ」というタイトルの記事です。とにかく、きよねSCの記事に関しては、読み応えがあるものを随時紹介していきます。以下、抜粋して紹介。
地域の課題と向き合い、住民のニーズを把握し、解決に向けて立ち上がる。日本の総合型地域SCのモデルとなった欧州のクラブでは、スポーツを楽しむだけでなく、子育てから青少年の健全育成や高齢者福祉といった社会問題にも取り組むケースが多い。岡山県内でもきよねSCが子育て支援事業を実施。
きよねSCの母体であるNPO法人が運営する「なかよし広場こっこ」。子育ての拠点を作る国の事業の県内第1号として’02年からから活動しており、清音夢てらす完成に合わせて入居。対象は0~3歳児と保護者や妊婦。子どもを無料で遊ばせ、育児相談にも対応。
きよね夢テラスから東へ1.5kmにある清音ふるさとふれあい広場の有効活用について、総社市からきよねSCで相談を受け、子ども達を外で自由に遊ばせる空間として公園に外遊びの基地を作る話が持ち上がったのが’14年。
順天堂大の黒須教授は「欧州のクラブは公益に貢献するコモンズ(共有財産)として認知。地域の課題に主体的に取り組むクラブが増えれば、社会に欠かせない存在になっていく。日本のクラブも『地域のコモンズ』を目指すべき」と指摘。この外遊びの基地は今春オープン。
という内容でした。まずは聞きなれない「コモンズ」という言葉。調べてみましたが、いいページが出てきませんでした。当ブログでは昔から「公器」「公共材」という言葉を長く使用してきました。最近では山陽新聞や村井チェアマンからも聞く言葉。まあ、どこが先に使ったのかは不明ですが。コモンズとは公共財という意味なのでしょう。
日本のクラブも「地域のコモンズ」を目指すべきとありますが、個人的にはここ数年増えた総合型地域SCが本当に公共財なのかと思える事があります。昔の記事で触れたように、総合型地域SCは、スポーツチームをピラミッドの頂点に置くJリーグで言う「総合スポーツクラブ」タイプと、行政主導でフラットな総合型地域SCタイプと2タイプあると言ってきました。それが8年ほど前の話。それから国の主導で総合型地域SCがあっという間に増えましたが、ほとんどが後者のようです。決して欧州、ドイツのようなクラブではないような気がします。自主運営にして行政の負担を軽減する目的の、極めて汎用的でフラットな組織です。それが果たしてドイツのようなスポーツ文化を作れているのか疑問です。
清音の事例は前者に近いと思いますが、県内に後者に近いクラブがどれくらいあるのかと思います。当ブログで後者の一番の理想とする先進モデルは、NPO法人 湘南ベルマーレSCです。岡山にも湘南さんみたいなクラブができないものでしょうか。また、きよね夢てらすで、当ブログの師匠、傍士さんにお会いしたいですね。
きよね夢てらす公式HP:http://kiyoneyumeterasu.jimdo.com/
きよねスポーツクラブ公式HP:http://kiyone-sports-culb.jimdo.com/
きよね夢てらす関連③:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20121112
〃 ②:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20121104
〃 ①:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20070121