CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】小説新聞社販売局

2016-03-03 22:00:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
小説新聞社販売局  作:幸田 泉

ある新聞社の販売局を描いた
なかなかセンセーショナルというか、
非常に面白い小説でありました
他業種というか、あまり知らない部分だけに
企業としての体裁だとか、
様々なものが見えて大変有意義な読書だったというか
すげぇ面白かったんだこれが

ある記者が、デスクの逆鱗に触れて
販売局という、新聞を販売する部署に飛ばされた
そこから話は始まるのでありますけども、
そこで繰り広げられるというか、
様々に持ち上がる問題だとか、仕事ぶりというのが
なんとも、大変興味深い内容といっていいか、
いわゆるどさ回り営業のようで、親近感が沸いて仕方なかった

新聞というと、やはり記者が、生地がと、
えらそうな話になるというのが、
当たり前であり、それが求められているわけですが
ひとつはなれてみるというか、新聞社も
れっきとした企業の一つなのでありまして
販売に四苦八苦するという部分が
なかなか新鮮でとても面白かった
そして、おそらくは業界的にタブーだと思われる部分に
相当深くというか、もしかすると、
業界じゃさらっとしたもんかもしれない
そんな闇といえるような部分を
ありあり描いているのが見事でありまして
こういう、旧弊というか、しがらみによる
鬱屈した部分というのは、
企業のどこにでもあるものだよなと
しみじみ思い知るのでありました
でも、こういうところが、
なにやら庶民じみているといっていいのか、
よくある営業もののビジネス小説よりも
ぐっと近しいというか、泥臭くていいなと
感じたりしたのであります
ただ単に私が住んでいる業界と
どこか似た匂いがするからかもしれない

ともかく、そんなこんなで、
中小企業というか、販売店とのあれこれだとか
昭和の遺産めいた人物模様なんかが
なんとも面白く見えて仕方なかったのでありました
滅び行くものというか、斜陽というか、
なんとなし、いいなぁと眺められるのであります

後半は、すっかり逆転ものの小説といった様相で
エンターテイメントとしても
非常に面白く読めたわけでありますが
なかなかステキな小説だったと
メモるにいたる次第でありました

ただ、序盤はちょっと散らかってる感じで
読み進めるのにてこずったのでありますけど
面白いアプローチの内容だったと
思うのでありました