オールド・テロリスト 作:村上 龍
題名の通り、年寄りのテロリストを描いた話だったわけですが、
なんと形容したらいいのか、話はなるほど、
狂言回しのうらぶれた中年男性を軸にして、
それらの年寄りというか、一連のテロ事件を
追っていくというか、巻き込まれていくという
そんなお話だったのであります
読み終えて、まず思ったのは、
本当にもう、村上龍という作家さんは
まったく違ってきたのだなという感慨でありました
これは、前回読んだ55歳のハローライフでも
そんなことを書いたように思うのだけども
過度なというか、若い頃の作品にあふれ出ていた
エログロ的なものが、とんと抜け落ちていて
それでいて、骨子というか
話の進み方、物語の立ち方は不思議と
以前に読んだそれこれと軌を一にしているような
感触を覚えるのでありました
とはいえ、よくよく読んでいると
むしろ当時のぎらぎらしたというか、
抜き身のままのそれこれよりも、
なんか読んでいて、いわゆる、むらむらするような
絶妙な女性描写であったり、
執拗に凄惨な現場であったりするあたりが、
むしろ発展しているんじゃないかしらと
思えたりもするのでありますが
なんというか、文章力というか描写力というか
読んでいくにつけて、得体の知れないものが
体の中に渦巻いてくるような
独特の読後感というか、読書をできたのでありました
カタルシスや、物凄い面白さ、笑い、感動なんかは
ジャンルが違うと思ってしまうのだけど
なぜだか、こんなに分厚いのに、
次々読みたくなるし、さりとて、読んでいると
とても重苦しくなるというか、
正直な話、夢に見たというか、悪夢にうなされるくらいの
形容しがたい文章に襲われるわけでありまして、
病的な部分の描写が、
もうなんというか、自分と同一化しそうになるような
巧緻きわまるといった感想を持ったのでありました
ちょっと怖かった
なんというか、気が狂うというか、気が狂っているという描写は
執拗にされると巻き込まれていくという
恐ろしいそれだと思わされたのでありました
物語については、ひょっとすると執筆中になにか
変化というか転換があったんじゃないかと
不思議に思うような展開が後半にやってきて
大きく物語がうねるというか、なんか
変転するところが不審でありましたけども
全体的に、いわんとするところというか
思想や、モットーといったものを押し付けるそれではない
でも、描いたことで感じるものがなにかあったと
まぁ、とらえどころのないことを書いてしまうんだが
説教くさくはなく、なんとも
面白い小説だったと思えたのでありましたとさ
題名の通り、年寄りのテロリストを描いた話だったわけですが、
なんと形容したらいいのか、話はなるほど、
狂言回しのうらぶれた中年男性を軸にして、
それらの年寄りというか、一連のテロ事件を
追っていくというか、巻き込まれていくという
そんなお話だったのであります
読み終えて、まず思ったのは、
本当にもう、村上龍という作家さんは
まったく違ってきたのだなという感慨でありました
これは、前回読んだ55歳のハローライフでも
そんなことを書いたように思うのだけども
過度なというか、若い頃の作品にあふれ出ていた
エログロ的なものが、とんと抜け落ちていて
それでいて、骨子というか
話の進み方、物語の立ち方は不思議と
以前に読んだそれこれと軌を一にしているような
感触を覚えるのでありました
とはいえ、よくよく読んでいると
むしろ当時のぎらぎらしたというか、
抜き身のままのそれこれよりも、
なんか読んでいて、いわゆる、むらむらするような
絶妙な女性描写であったり、
執拗に凄惨な現場であったりするあたりが、
むしろ発展しているんじゃないかしらと
思えたりもするのでありますが
なんというか、文章力というか描写力というか
読んでいくにつけて、得体の知れないものが
体の中に渦巻いてくるような
独特の読後感というか、読書をできたのでありました
カタルシスや、物凄い面白さ、笑い、感動なんかは
ジャンルが違うと思ってしまうのだけど
なぜだか、こんなに分厚いのに、
次々読みたくなるし、さりとて、読んでいると
とても重苦しくなるというか、
正直な話、夢に見たというか、悪夢にうなされるくらいの
形容しがたい文章に襲われるわけでありまして、
病的な部分の描写が、
もうなんというか、自分と同一化しそうになるような
巧緻きわまるといった感想を持ったのでありました
ちょっと怖かった
なんというか、気が狂うというか、気が狂っているという描写は
執拗にされると巻き込まれていくという
恐ろしいそれだと思わされたのでありました
物語については、ひょっとすると執筆中になにか
変化というか転換があったんじゃないかと
不思議に思うような展開が後半にやってきて
大きく物語がうねるというか、なんか
変転するところが不審でありましたけども
全体的に、いわんとするところというか
思想や、モットーといったものを押し付けるそれではない
でも、描いたことで感じるものがなにかあったと
まぁ、とらえどころのないことを書いてしまうんだが
説教くさくはなく、なんとも
面白い小説だったと思えたのでありましたとさ