なんていうか、思っていたより見ごたえのあった「出世脱落」でした。思っていたよりというのは、どうせまた一豊さん、ちょっと惨めでどじで、うじうじのぐちぐちかなと思っていたのですよ。
いい人一豊さん、好きですよ。でも、そんなの中心には見るに耐えられるかなァと、多少不安でも在りました。
話がずれてしまいますが、今日昼間「陰の季節」の再放送をしていました。この「陰の季節」は警察の人事や内部調査の話なのですが、なかなか見ごたえがあります。私は、このドラマの中の川上さんが好きなのですよ。渋くて重い。今日のこのドラマでも苦渋に満ちた顔で悩んでいる。
どうして一豊はこの路線じゃいけないの、と心の中でぼやいていたのです。
でも、今日の一豊の中にその「陰の季節」の川上さんがいたのです。確かに、やっぱり一豊はうじうじのぐちぐちだったと思うのですよね。でも川上隆也の熱演で、とてもそうは思えませんでした。一豊の思いが一気に伝わってきましたね。
情けないとも思いませんでしたよ。論功行賞の時、賤ヶ岳の七本槍などの新参者は優遇され、中村、堀尾は城持ち大名になったというのに、一豊は忠臣まで失ったというのにたった三百石の加増にしかなりませんでした。
秀吉は試しているんだなんて、いかにもなんか奥がありそうなこと言っていたけれど、こんな風に人を試すなんて、人の心を何だと思っているのでしょう。いただけませんね。また、普通の人には、そんな思惑気がつきませんし。愚痴だって一山いくらというぐらい言いたくなりますよ。
一気にやる気を失った一豊を復活させたのは妻の愛と、そして母の想いでした。功名に生きるのは疲れた、もう御仕舞いにしよう。出家しよう。そんな事を言っている一豊に「解脱したいなら、いっそ命を立て」と迫ります。キビシー!
妻のかばう姿を見て、また「命を」と言われ、目を覚ます一豊。その姿にほっとした母、法秀尼が、一瞬意識を失うシーンは胸を打ちました。わが子に命を迫ると言う事は、自分も命がけだったのだなと分かった瞬間でしたね。
茶々はなんていうか、とっても魅惑的に描かれていましたね。あのはっきりしたものの言い方、その言葉。男だったらクラッーときちゃうかも。