外は雨が降っている。森の緑が雨に解けていく。私は音楽を聴きながらPCのカシャカシャという感触を楽しんでいる。ひとり、部屋の中で・・・
「ナンノ、ココガ コウミョウガツジジャー」 カシャカシャカシャ
不用意に涙があふれた。―意外に引っ張るなあ―
見ていたときより、後で思い巡らした時の方が、きちゃう時あるよね。
だけど、涙が違うドアの鍵になる。
お願い、行かないで。あたしの傍にいて。
その腕にすがり付いて放したくない。
向けた背中の白いシャツを 伸ばした手で捕まえる
握り締めたその手を開きたくない。
お願い、行かないで。あたしの傍にいて。
あなたが離れていくと思うだけで 心が砕けてしまう。
砕けた欠片の数だけあなたを思っている。
お願い、お願い、行かないで。ただ、あたしの傍にいて。
一人の部屋で、私は涙が止まらない。
ガシャ、ドアを開けてルートが帰ってきた。
私は彼を呼び止める。
「ねえ、期末テストはどうだったの。」
「まあ、フツウ。」
「あのさあ、フツウじゃだめなんだよ。『あの時、俺はやったな』と思えるように頑張る時なんだよ。
うるさいなって思ってるかもしれないけれど、親に勉強しろなんて、あとほんのちょっと言われるだけで、そのあと一生言われないんだよ。」
「そうだよな、早ければあと4ヶ月。」
「そうよ、ここで手を抜けばあとまるまる一年プラスの『お勉強しなさい攻撃』だからね。どっちがいいの?」
「そりゃね、短い方が・・」
「そうでしょ、頑張るんだよ。自分のためなんだから。」
この子は、他県の大学に行きたいらしい。外は流れるように雨が降っている。私はひとり、部屋の中・・・
テバナシタクナイ ホントウハネ オモイハココロノヘヤニトジコメル