以前書いた「それ、ルーヴルで見たわ。」と言う記事に、ネットのお友だちのまーこ♪さんが下さったコメントに「コローが好き。」と言う一言がありました。
それまで私はコローと言う画家に何の興味がありませんでした。なかったがゆえに突然興味が湧きました。調べてみると、この夏上野の西洋美術館で「光と追憶の変奏曲 コロー」と称してコロー展が開かれることが分かりました。これは行かないわけにはいきません。
開催を楽しみにしていましたが、なかなか思い立って出かけていくことが出来ませんでした。三連休実家に帰ったついでですが、その帰り道に上野に降り立って見てくることにしました。
絵葉書も数枚買って来ました。
私がやはり一番気に入ったのは彼の代表作でもある「モルトフォンテーヌの思い出」や「幸福の島」などで、またヴィル=ダヴレーの森を描いた風景画の全ては、私の心を捉えて止みませんでした。人が森の木々と向き合い、森の息遣いが伝わってくる作品を私は拒むことが出来ません。
そして何枚の絵かに同じ構図の女性が描かれていたように思います。手を高く上げて木の実を収穫している女性。道の真ん中で片手を上げている女性。
それはまるで森の中に立つ人が木と同じように腕を広げ、枝のように天に向かって伸びている、つまり森の中で人は自然に同化しているというか、そんな感じがしました。
一番上の画像はコロー展のお知らせチラシですが、「真珠の女」と言う作品です。その構図、また神秘な表情から19世紀のモナリザ、またはコローのモナリザと言われています。
私はこの絵が見たくて出かけたようなものだったのですが、この絵はちゃんと見るのに少し苦労しました。混んでいたからと言うのではありません。この絵は不思議なことに光ってしまうのです。片方の目がちゃんと見えなかったり、少し割れた髪の部分が金粉を散らしたようにキラキラしてしまったりで、人の頭を避けながら、ぴったりちゃんと見える場所を探すのに苦労しました。
コローはこの絵を愛して生涯手放すことはしませんでした。当初は胸の所もこんな風には肌蹴ていなかったものを、後に手を加えたと言われています。意志の強そうな唇と瞳、確かにこの絵の女性はドラマチックな神秘の香りを放っていると思いました。
その他の女性達の絵なども、その衣服の素材が伝わってくるようでした。
19世紀の写実主義といわれた彼の絵は、その後の印象派の画家達に大きな影響を与えました。この作品展にはコロー以外の作品としてモネやシスレーがその比較として展示されています。面白い企画だと思いました。
コローの詳しい解説や他の絵などは、こちらのサイトで見ることが出来ます。→こちら
8月31日まで