父からの贈り物父は本当は11月13日の自分の誕生日に死にたかった。世の中ままならぬことは多いが、病気などの自然死においては死ぬ日の予定日ほどままならぬものはないと思う。私や姉が、4月の終わり...
そうか。
あれは偶然じゃなかったんだー。
※ ※ ※
起きる時間が夫と私は違う。だから私は目覚ましにスマホを利用している。寝る前にそれを手にとって見ると、伝言が入っていた。よくあることだ。家にいることが多い私は、携帯に電話が入っても気が付かないことが多くて不携帯電話と言われている。出ない電話に伝言機能が働いてしまうが、ほとんど何も言葉が入っていない。
だけれど大事に取ってある伝言の声が設定数オーバーで消えてしまうので、こまめに消去しておこうと思っている。
大事にとってある声というのは、それはたった一件だけ残っている父の声なのだ。
「あー、☓☓ちゃん、何時くらいに来るのかと思ってね。」
そんな伝言の声。
かと言って、その声をいつも聞いているわけじゃない。
だって悲しくなってしまうもの。だって涙が出てしまうもの。
でも昨日、声の入っていない伝言を消そうと思っていじっていたら、指がするっと滑ってイキナリ父の声が流れた。
「あー、☓☓ちゃん。」
父の声は柔らかい優しい声だった・・・・・。
メールチェック、あまりこまめじゃない。
だけれど、今日は用があってメールを開いた。
そしてその時にいつもgoo が送ってきてくれる去年の記事を読んだ・・・。
ああ、そうか。昨日は父の誕生日だったんだ。
お父さん、ごめんね。
私、忘れていた。
お父さん、85歳の誕生日だったんだよね。
でも私ね、昨日は日が落ちる直前にお父さんがくれたカメラを持って十月桜の写真を撮りに行ったんだよ。
私はこの公園で花にカメラを向ける時いつも思い出すんだ。
ブログに載せた写真をいつも見てくれていたお父さんを。
そしてちょっとだけ寂しく思うんだー。
ちょっと雪のようだよね。